やはり気になるイラン攻撃

2010年7月26日

 イランに対する、アメリカ軍による軍事攻撃の可能性は、アメリカ政府の高官の口から何度もありえない、という否定的な意見が述べられてきたし、中東問題や軍事の専門家も、同様の意見を述べる者が多い。

 しかし、ここにきて、元CIA長官のミシェル・ハイデン氏が、イランに対する攻撃をアメリカが実施するには、条件が整ってきている、という内容の発言をし始めた。

 彼の考えでは、イランに対する、アメリカ軍による軍事攻撃には、十分な正当性が出来てきたというのだ。もともと、アメリカにとって、イランに対する軍事攻撃という選択肢は、最優先ではなかったのだが、イランの頑なな姿勢と、核兵器開発につながる一連の動きが、イラン攻撃を正当化するに至った、というのだ。そして、それを世界は支持するという結論に、アメリカは達しているのかもしれない。

 こうしたアメリカ側の判断のもう一方で、イスラエルはサウジアラビアとの軍事協力を進めている、という情報が流れてきている。イスラエルのモサド長官メイル・ダガン氏が、サウジアラビアを秘密に訪問し、サウジアラビア側の情報、軍関係者と話し合ったというのだ。もちろん、その内容は知るべくもないが、イラン攻撃に関連するものであることに、間違いあるまい。

 イスラエルとサウジアラビアとの軍事協力については、以前もお伝えしたが(サウジアラビアのタブーク基地に、イスラエルが軍事物資を集結し始めている)、一般的には、イスラエルが流したデマ情報とされてきた。

 しかし、アラブ首長国連邦の駐米大使が語ったように「湾岸諸国にとってはイランが核兵器を保有することは、イスラエルの核兵器よりも、喫緊の脅威だ。」というのが、湾岸諸国共通の本音であろう。

 だからこそ、トルコのダウトール外相やブラジルのセルソ外相が、イランを訪問し、何とかEUとの話し合いを再開させよう、としているのであろう。イランの核問題は沈静化しているのではなく、ますます危険性を高めてきているのだ、という判断をすべきではないのか。少なくとも、イスラエルがイランを攻撃する可能性は、いまだに非常に高いのだから。