イスラエルとギリシャの関係改善は名目だけか

2010年7月26日


ギリシャのパパンドレ首相がヨルダンア川西岸地区のマハムード・アッバース議長を訪ねる途上、イスラエルのネタニヤフ首相と会談している。

そこでは、イスラエルとギリシャとの関係改善が話し合われ、今後両国は双方にとって必要な、種々の面で関係強化を図ることを合意したということだ。

しかし、これは同床異夢なのではないか。イスラエルにしてみれば、ギリシャが経済危機の中で、トルコとの関係を強化する動きに出ていたことを受け、イスラエルとギリシャとの関係を、トルコ以上に強化する都合が、あったからであろう。

しかし、そうは言っても、イスラエルにはトルコのような、ギリシャに対するダイナミックな、経済協力は出来まい。トルコの場合は官民が一体となって、外国との間の経済協力を推進しているが、イスラエルにはそれだけのパワーが、無いのではないか。

イスラエルにできることは、ユダヤ・ネットワークを使い、ギリシャに対する世銀やIMFによる、経済支援ぐらいなものであろうが、実際の効果は、あまり期待できないのではないか。

そうなると、ギリシャ側は表面上はイスラエルとの関係強化に合意しても、何も期待できない以上、イスラエルをトルコに優先させることはあるまい。

今回のイスラエルのネタニヤフ首相と、ギリシャのパパンドレ首相との合意を、旅の途上のリップ・サービスと受け止めていいのではないか。少なくとも、イスラエルが期待したような効果は、出てくるとは思えない。