さざ波程度かラリジャニのネジャド非難

2010年7月12日


 鉄の結束を誇るイラン神権体制のなかで、意見の食い違いが何故、出始めたのであろうか。ハメネイ師を中心とする体制内の体制派と思われる、アハマド・ネジャド大統領とアリー・ラリジャニ国会議長との間で、意見の違いが出始めているようだ。

 アリー・ラリジャニ国会議長に言わせると、いまのアハマド・ネジャド大統領の進める人気取りのための、国家資金のばら撒き福祉政策は、正しくないということになる。

 確かに、アハマド・ネジャド大統領はこれまで、貧者に対する(ムスタザフィーン)福祉として、食料や現金の支給を行ってきていた。そのことは、テヘランのような都会では、ごく限られていたろうし、あまり政治的な効果はなかったものと思われるが、地方の貧しい町村では、それなりの効果を上げてきたようだ。

 昨年実施された選挙で、テヘランではムサビ候補の方が得票したものと思われるが、このアハマド・ネジャド大統領のばら撒き福祉の結果、アハマド・ネジャド大統領が地方で、得票したことは間違い無かろう。

 アリー・ラリジャニ氏は、金や物をばらまくのではなく、仕事ができる環境を創り出すことが、優先されるべきだと語り、絨毯の上に座っているだけで、飯が食えるような状態を、作ってはならないというのだ。

 つまり、石油やガスの輸出による収入だけではなく、石油ガスの輸出で獲得した資金を使い、経済の開発を図るべきだということだ。

 昨年実施された大統領挙の結果発生した、大衆によるアハマド・ネジャド大性に対する抗議行動は、イラン政府の厳しい締め付けの下、現段階では沈静化したように思える。そうしたなかで、なぜ今この時期にアリー・ラリジャニ国会議長が、アハマド・ネジャド大統領批判を始めたのか。

その裏には、われわれでは知り得ない、イラン国内事情があるのではないか。ただ明らかなことは、アリー・ラリジャニ国会議長は大統領候補と目されていた、体制内の何人かのうちの、一人であったということだ。