イランで行われている裁判で、いま世界的な話題になっている事件がある。それは姦通罪を犯した女性が、石打ちの刑に処せられるかどうかということだ。
石打ちの刑とは、既婚の女性が夫以外の男性と通じた場合に、あてはめられる罰であり、首から上だけを地上に出し、首から下は土中に埋められて、投石で殺されるという形だ。
この刑はむごいもので、あまり大きな石では、一つ当たれば失神するか死亡するので、それほど大きくない石を投げつけて、徐々に痛い思いをさせ、かつ苦しませながら、殺すというものだ。実に非人間的な処刑の仕方だ。
このため、世界中から非難の声が上がっている。イギリスなどは外務大臣までもが、石打ちの刑によって処刑をすべきでない、と非難しているほどだ。確かにその通りであろう。残念ながら、日本ではニュースそのものが、伝えられていない。したがって、政府の要人がこれを、非難するということもない。
さて、この女性はどうして石打ちの刑という、極刑に処せられそうになったのだろうか。彼女の名前はアシュテアーニ、43歳写真で見る限り、相当の美人だ。一度結婚したが、夫は殺されて現在は寡婦だ。もし、彼女が寡婦なら鞭打ち100回で済んだのだが、そうはいかなかった。(彼女には一度、99回の鞭打ちの刑が、判決として下されていた)
彼女は夫が健在であるときから、二人の男性と関係があったことが証明され、既婚女性の姦通罪が適用されたのだ。そのため、鞭打ちの刑から、石打ちの刑に、格上げされてしまったのだ。
彼女の息子が何度も刑務所を訪ねて母親に会い、助命嘆願をしたこともあり、世界の非難もあってか、どうやらアシュテアーニ女史は、石打ちの刑だけは、免れたようだ。だからと言って、彼女に対する死刑判決が、覆されたわけではない。単に処刑方法が変わっただけなのだ。
さて、このアシュテアーニ女史なる女性は、悪女なのだろうか、あるいは、家庭が貧困であったことが、彼女を追い込んだのであろうか。あるいは、若い日の関係が、続いていたのであろうか。そのことまで知る術はない。
日本でならば、お茶飲み程度のことが、ところ変われば、最も残忍な処刑方法に至るのだ。他人に言えた義理ではないが、日本人にも、もう少しモラルがあっても、いいのかもしれない。