9月は大決断の月になるか・米イラン関係

2010年7月 8日


 イラン政府が核燃料濃縮問題などで、8月末までは何も発表しない、という趣旨のニュースを流していた。同じように、アメリカ政府も9月までは、様子見といった感じの、情報を流していた。

 その二つのニュースを目にした時、9月までというのは何を意味するのか、といぶかっていたが、やっとその答えらしいものが出てきた。イランは8月末に、ラサド1という衛星を打ち上げることを、発表したのだ。

次いで、イラン政府は9月にブシェール原発に、燃料棒を入れることを発表した。この結果、イランの原発は実際に動き出すわけであり、外国はこの原発を阻止することは、実質的に出来なくなる。もし、攻撃して破壊するようなことをすれば、放射能が周辺に拡散するからだ

イランが衛星を打ち上げるということは、長距離ミサイルを持っている、ということと同じ意味だ。ミサイルに搭載するものが衛星であれば、平和利用のロケット(ミサイル)であり、爆弾を搭載するのであれば、たちまちにして戦争用のミサイルに、早変わりするということだ。

イランのこの二つの発表は「我々は長距離ミサイルを持ったし、核兵器開発まで、あと一歩のところまで達しているぞ。」という警告であろう。したがって、アメリカやイスラエルを始めとする、イランに敵対的な国々は、覚悟して対応しろ、ということであろう。

他方、イスラエルはネタニヤフ首相が訪米し、オバマ大統領との間で、イラン問題、パレスチナ問題、レバノンのヘズブラ問題などを話し合った。その結果は、「アメリカはイスラエルの安全保障に関連する行動を反対しない。」というものだった。

つまり、イスラエルが必要に応じて、イランを攻撃するとしても、それをアメリカは止めないということだ。これまでのアメリカのスタンスは、イスラエルが勝手にイランを攻撃することは、認めないというものであっただけに、これはイスラエルにとって、好都合なものであろう。

これに呼応するように、アメリカ政府も必要があれば、イランに対して軍事行動を採ることも、やぶさかではないという声明を、発表している。つまり、イランに対するイスラエルとアメリカの立場は、似通ってきており、危険度が高まったということだ。

イランは長い歴史を持つ国であり、あらゆるチャンネルをアメリカ政府との間に持っている、とある在日イラン外交官は豪語していた。その通りであれば問題はないのだが「上手の手から水が漏れ。」という言葉が日本にはある。

 アメリカやイスラエルの挑戦的な言辞に、イランが挑戦的な言葉で応酬することが、大きな問題に発展するようなことが、あってはなるまい。いま、アメリカは秋に選挙を控えていることから、イスラエル(ユダヤ・ロビー)に対するサービスが、重要になってきていることを、イランは計算に入れるべきではないのか。