過去数日の間に、とんでもない情報が飛び交い始めている。それは、仇敵同士であるはずの、イスラエルとサウジアラビアとの間で、イランをめぐり軍事協力関係が、構築されつつあるというものだ。
最初に流れた情報は、サウジアラビアがイスラエルに対し、イラン攻撃の祭に、領空通過を認めたという情報だった。以前、イスラエルがイラクのオシラク原発を攻撃した際、ヨルダン領空を通過し、サウジアラビア領空も通過して、攻撃は行われている。
もちろん、この場合、ヨルダンとサウジアラビア両国政府は、イスラエルに対して、領空通過を認めてはいなかったと説明している。しかし、認めようが認めまいが、イスラエルの爆撃機が領空を通過したことは事実であり、結果的にイラクの原発は、稼動寸前で破壊されている。
今回の場合は、イラク空爆の例に比べ、より信憑性を持って受け止められている。それは、イランが核兵器を持つことになれば、サウジアラビアにとって、明らかな脅威に繋がるからだ。そのために、イスラエルとの間に協力関係が成立しても、おかしくないということだ。
次に流れている情報は、サウジアラビアの西部タブークの軍事基地に、イスラエル軍が武器を搬入しているというものだ。そして、そこに集積された武器はやがて、実施されるであろうイラン攻撃の際に、使用されるというものだ。
これら二つの情報を、当然のことながら、サウジアラビア政府は否定している。根も葉もない噂だということであろう。
しかし、情報専門家の間では、これらの情報について、幾通りもの説明、推測が行われている。ある専門家は「サウジアラビア政府がオバマ大統領を弱腰と見て、イスラエルとの協力をする、と迫ったのではないか」というものだ。
またこれらの情報の発信源がイランであることから、イラン政府がサウジアラビア政府に対して、「イスラエルとの協力関係が生まれないよう、事前に警告を発したのではないか」という説を述べる専門家もいる。
アメリカ政府がイスラエルのイラン攻撃を、黙認せざるを得ないとすれば、成功裏に終わるよう、最大の便宜を図ることは当然であろう。もし、イスラエルのイラン攻撃が失敗に終わるようなことになれば、まさに中東地域は、大混乱に陥るからだ。
したがって、アメリカの説得でサウジアラビアが、自国領土内へのイスラエルの武器搬入を認めるということは、全くありえない話ではあるまい。確かに、サウジアラビアはアラブの一員として、敵国であるイスラエルに便宜供与をすることは,ありえないとは思えるのだが、イスラエルがサウジアラビアにとって,直接的な敵でないことも事実だ。
中東を始めとした世界の専門家の中にはこれら全てがブラフにすぎないと解説する者もいる。いずれが真実かは,時間の経過が教えてくれるだろう。