エルドアン首相とネタニヤフ首相の非難応酬

2010年6月 4日

 フロテッラ号襲撃事件の後、トルコとイスラエルとの関係は、ますます緊張の度を高めてきている。トルコ側はイスラエルに対し謝罪を要求し、イスラエルア側はフロテッラ号には、テロリストが乗船していたし、武器もあったと主張している。

 加えて、イスラエル側はイスラエルのコマンドが乗船したとき、フロテッラ号の乗員に取り囲まれて、攻撃を受けたと主張し、その証拠らしいビデオを公開している。また武器であろうか、パチンコが沢山積んであったし、それを使って飛ばす小石も、ビンにつめて船に積んであったと主張している。それ以外には、防毒マスクや棍棒も積まれていたと映像を披露している。

 しかし、事件が公海上で発生したこと、イスラエルのコマンドが銃撃し、しかもそれが至近距離からであったこと、多数の死傷者が出たことなどを考えると、イスラエルが正当防衛を主張しても、誰も受け入れないのではないか。

最も親イスラエルの立場をとるアメリカは、一応イスラエル支持の声明を発表し、バイデン副大統領は謝罪の必要は無いと言っているが、相当苦しい発言ではないのか。どうやらアメリカのマスコミのメジャーは、イスラエルに対して批判的な、論評を出しているようだ。

 こうしたイスラエルやアメリカの動きを受け、トルコでは緊急会議が水曜日に開催された。軍幹部、をはじめ国家安全保障会議委員なっている閣僚などが、この会議には出席し、エルドアン首相宅で4時間に及ぶ討議がなされたと、トルコのトデイ・ザマン紙のブログは報じている。

 この会議の前に、エルドアン首相は「トルコの外交的我慢の限度を試すな。」と語り、緊急会議の後には、トルコはこの事件に対し、政治、外交、経済、軍事などあらゆる手段で、イスラエルに立ち向かう、と発表している。

 今後、トルコが進めるであろうステップは、国連などを通じて、公正な立場から事件の調査をする、国際委員会を結成することであろう。それに対し、イスラエルは拒否の姿勢を示し、アメリカもそれを支持しよう。

 しかし、イスラエルが頑なな姿勢を示せば示すほど、イスラエルの国際的孤立は高まり、逆にトルコに対する支持と評価は、国際的に高まっていこう。既にアラブ諸国は、トルコ絶対支持の立場に回っている。そのことは、トルコとアラブ諸国との間にあった、オスマン帝国時代の支配被支配の暗いイメージを、消し去ったものと思われる。