最近、トルコ最大の都市イスタンブールで、大型テロ事件が起こった。このテロ事件の前にも、トルコ軍とPKKとの軍事衝突は、トルコ南東部地域で繰り返されていた。
こうした状況を見てであろうか、トルコ経済政治調査財団のスペシャリストである、ニハット・アリー・オズジャン氏が民族問題の激化が懸念される、と述べている。
トルコの現状は経済的不振があり、失業問題が全国的に広がっており、国民の間に不満が蓄積されてきている。その結果、盗難事件やレイプ事件が、増加する傾向にあるようだ。
ニハット・アリー・オズジャン氏は民族問題を激化させないためには、マスコミが過激な報道を控えることが重要であるとし、政治家も選挙目的の過激な発言は、控えるべきだと語っている。
PKKがトルコ政府との対立関係を高め、衝突が頻発すればトルコ国民の間に、差別感情や発言が増えるであろうことも懸念される。しかし、そうした傾向は全て問題を、複雑化させるだけだと指摘している。
そして、そうした流れはPKKを民族問題の代表に押し上げ、国際的な対応も、複雑化してくるというものだ。
そこで問題なのは、何故いまトルコで、これまで以上にPKKの活動が、活発化したかということだ。トルコ政府はイランの核開発問題で、仲介役を務め、濃縮ウランの交換を、イラン側から引き出したが、結果的には、アメリカによる強引な対応の前に、トルコの努力は水泡に帰している。
イスラエルとの間でも、ガザへの支援船問題があり、最近では関係が悪化している。イスラエル側からのトルコに対する非難の声が、多くなっていることは否定できない。
つまり、トルコ国内のPKKの動きが活発化した裏には、PKKの意思もさることながら、PKKを支援する国々の都合が、影響を与えている可能性もあるということだ。
イスタンブールでのテロ事件後、トルコ政府は幹部会議を開催し、対応策を検討しているようだが、それがうまく行くのか、イラクとの協力によるPKK,対応もうまく進むのか、関心の持たれるところだ。
トルコはいま外交・内政の、実力を試されているのかもしれない。