アメリカに一部の日本人にも知られている、STRATFORという国際情勢を分析する研究機関がある。その代表者であるジョージ・フリードマン氏が、重要な発言をしている。これはトルコの英字紙トデイ・ザマンに掲載された抜粋だ。
彼はアメリカの中東地域における影響力が、次第に後退してきている、という前提に立ち、トルコの役割が重要性を、増してくると予測した。彼の考えでは、中東地域における主要な国々の影響力(米露)が後退し、その空白を埋めうるのは、トルコだと分析している。
彼の考えでは、早晩アメリカがイラクとアフガニスタンから撤退するが、EUは崩壊状態にあり、バルカン地域に対してすらも、関心を持っていないということだ。同じように、ロシアもコーカサスから手を引き、エジプトやギリシャは、しかるべき役割を果たすには、弱すぎるとみている。
G・フリードマン氏の分析によれば、EUは経済力は有しながらも、軍事力は不十分であり、ロシアは軍事力は有していても、経済力において問題があるということだ。
したがって、中東地域ではトルコとアメリカが、潜在的影響力を持っているということになる。しかし、アメリカが次第に、影響力を減退させていく中では、トルコが台頭せざるを得なくなる。しかも、トルコはいま歴史的に大きな役割を担う、状態にあるということだ。
このトルコの中東地域における台頭に対し、アメリカはどう動くのであろうか。G・フリードマン氏は中東地域が、アメリカに全てを依存する時代は終わり、トルコが肩代わりになって、役割を果たす時期だとみている。
トルコはパレスチナに問題があると思うのであれば、乗り出して行って問題を、解決すべきだと主張している。その根拠は、トルコが経済軍事両面において、バランスの取れた国家だからだということだ。
イランの核問題についても、G・フリードマン氏はトルコの役割に期待し、アメリカはトルコの仲介に反対しないが、もう少し詳しく調査分析したいと考えているのだ、と指摘している。そして、仲介はイランとアメリカ双方にとって、信頼できる国が果たすべきだとも語った。
イラクの問題についても、イラク国内が安定化しなければ、クルド問題の影響を、トルコが受けることになるので、強い関心を持っており、しかるべき役割を果たすとみている。
G・フリードマン氏の分析は、まさにその通りであろう。トルコの重要性について、正確に把握していない先進国は、日本ぐらいなものではないのか。