A・ネジャド大統領の強気・孤立しているのはアメリカだ

2010年6月30日

 アメリカが強硬に進め、イランに対する新たな制裁を決議した。このアメリカ主導の新たな制裁に、どれだけ各国が協力するかが、今後の問題になっている。当初、決議がなされた段階でさえ、これはアメリカがメンツを取り、実質はザルだと言われてきた。つまり、制裁の効力は無い、ということだ。

 それは、ロシアがエネルギーと兵器で、イランと深い関係にあることや、中国がエネルギーでイランと、強い関係にあるからだった。この両国のいずれか、あるいは2国が反対に回れば、制裁合意は流れたわけであり、アメリカは完全に世界での、指導的立場を失ったことになる。

 そのため、アメリカはロシアや中国との間で裏取引し、実質的にはイランとの関係を、両国に任せたということであろう。比較的アメリカと共同歩調をとることが期待されるヨーロッパ諸国も、それほど厳密にイランに対する制裁を、履行していくとは思えない。

 こうした状況を見てであろうか、イランのアハマド・ネジャド大統領は、強気の発言をしている。「アメリカは我が国を孤立させようとしているが、孤立するのはアメリカ自身だ。世界で今投票を実施して、どちらが支持されるかを試したら、アメリカはイランに敗れるだろう。アメリカの傲慢なやり方は、世界中から嫌われている。」

 イランはトルコとブラジルとの間で、核燃料の交換に合意していることも、強みであろう。それを強引に潰したのはアメリカであり、アメリカがトルコ・ブラジルに対して、イランとの仲介を歓迎していたことも事実だ。

 イランはこれまで、核開発はあくまでも平和のためのものであり、医療と燃料源として、開発を進めてきたと主張している。それが事実であるか否かは分からないし、君子豹変ということもあろう。

 だからと言って制裁をし、次の段階でイランに対する軍事攻撃を行うのであれば、これはやはり問題ありと受け止めるべきではないのか。

 CIAの長官が「イランは1年以内に核兵器2発を製造でき、その運搬手段はそれに1年加えればできる。」と発表している。つまり、イランは2年以内に核兵器2発と、その運搬手段であるミサイルを、手に入れることが出来るということだ。

 イランが核開発をやめることは、制裁が強化しされてもありえまい。CIA,が2年以内にイランは核を持つというのであれば、残された方法は軍事攻撃しかないということになるが、それは容易ではあるまい。イスラエルの我慢が限界点に達するのか、あるいはアメリカが先か、あるいはイランか、まさに、今は神経戦の段階にあるということだ。イランは8月まで交渉を停止する、と言い出しているが、それは何を意味する期間なのか。