クリントンはイラン制裁を断固推進というが

2010年5月26日

 アメリカのクリントン国務長官が中国を訪問し、両国関係について話し合った。同時に、イランの核問題に対する、対応も協議した。結果は必ずしも、彼女が考えていたようなものには、ならなかったのではないか。

 中国側との交渉の後、クリントン国務長官は記者団に対し、イランの核開発問題に対する、彼女の見解意を開陳した。

曰く、イランは平和的な核開発であり、それは世界のどの国も、許されるべきものだと語っているが、それはだましでしかない。イランはあくまでも、核兵器の開発を望んでおり、それを目指して核開発を進めているのだ、ということのようだ。

クリントン国務長官の考えでは、トルコとブラジルの説得に応じ、イランが低濃縮ウランと中濃縮ウランとの、交換をトルコを舞台にして実施することを、受け入れたのは、あくまでも新たな制裁が行われないようにするための、措置だというのだ。

イラン側の説明は、全く信用するに値しないものだ、ということであり、クリントン国務長官はいまだに、幾つもの疑問に対して、イラン側は答えていないと主張している。

トルコとブラジルの仲介による、低濃縮ウランの交換量は、2640ポンドだとされているが、それが全ての低濃縮ウランの量ではないだろう、というのがアメリカの考えのようだ。

つまり、イランは低濃縮ウランの一部を、中濃縮ウランと交換し、それはあくまでも医療用などに、使用すると説明しているが、裏には、相当量の低濃縮ウランが隠されており、その隠匿分が濃度を高められ、最終的には核兵器に変わるという推測であろう。

人間が人間を疑えばキリが無い。確かにアメリカが主張するように、イランは低濃縮ウランを隠匿しており、表面的には低濃縮ウランと中濃縮ウランを交換することを、受け入れることにより、イランはあくまでも、平和的な核開発を進めているのだ、という印象を世界に与えようとしている。

結果として、制裁に乗り気でないロシアや中国に、アメリカに対する制裁中止要求の口実を与え、制裁を断念させるという考えなのかもしれない

同時に、われわれはイラクの前例から、アメリカはあくまでも、イランの体制を打倒することを、最終目的としており、現在持ち出されている核問題は、そのためのステップであり、口実でしかないのかもしれないということも、考えてみる必要があるのではないか。

イラクには結局のところ、核兵器開発に繋がるものは無かったが、サダム体制は打倒された。そして、いつの間にかアメリカのイラクに対する軍事攻撃と軍事支配は、民主種的体制実現に目的が摩り替わっている。