イラク北部の町モースルで、イラクの一人の議員が何者かによって、自宅前で暗殺された。彼は30代であり、これから政治家としての力量を、期待されていたのであろう。
彼の名はバッシャール・アルアジェイディ氏、所属はアッラーウイ氏の卒いる、イラーキーヤ党選出の議員だった。つまり、イラーキーヤ党は彼が暗殺されたことにより、一人の議員を失ったということだ。
そのことは、今後の予測がそうでなくとも難しい、イラク国内政治において、より一層の混乱を招く、原因になりかねまい。アッラーウイ氏が卒いるイラーキーヤ党は、僅差でマリキー首相の率いる法治国家連合党に勝った。
結果的にアッラーウイ氏が、第一番目に内閣を組織する権利を得たわけだが、彼の卒いるイラーキーヤ党が、議席数の過半数に満たないことから、連立を組む必要があった。しかし、今回の議員暗殺により連立は、より厳しいものになったのではないか。
たかが1議席と思うかもしれないが、そのことが与える、精神的インパクトは小さくない。すでにイラーキーヤ党が中心となって結成される新内閣では、アッラーウイ氏が率いるかたちにはするべきではない、アッラーウイ氏外しの意見が出始めている。
世俗連合の形になっているイラーキーヤ党の実態は、イラクのスンニー派を太い柱としているだけに、シーア派のアッラーウイ氏ではなく、やはりスンニー派の議員を中心に、内閣を結成することも考えるべきだ、という意見が出始めているらしい。
そうした動きに対して、アッラーウイ氏がどう反応し、対応するのか、マリキー首相の率いる法治国家連合党が、どう対応してくるのか、目が離せない状況にイラク国内政治はなってきている。
余談だが、今回イラーキーヤ党のバッシャール・アルアジェイディ氏が暗殺されたモースル市では、数日前にアメリカ軍兵士が殺害されている。本来であれば、そこにアメリカ軍兵士がいるはずがないのに何故いたのか。
そして、何故殺害されたのか、そして、アメリカ軍兵士の殺害事件は、今回の暗殺と関連があるのか、クエッション・マークが多すぎる。アッラーウイ氏は最近、しきりに外国の関与を拒絶するべきだ、と主張してもいる。それは一連の流れと関係があるのか。