トルコの外交努力が実り、ついにイランはトルコでの濃縮ウラン交換を行う、意思表示をIAEAに行った。この結果、常識的に考えれば、イランに対する新たな経済制裁が停止され、イスラエルやアメリカによるイランに対する軍事行動も、実行不可能になったということであろう。
しかし、どうもそう楽観できない状況が出てきている。ワシントン・タイムズが報じたところによれば、キッシンジャー博士はニクソンセンターで行われた昼食会の席で、アメリカのオバマ政権が進めようとしている、経済制裁に実質的な効果は無く、単なる時間の無駄だ、と語ったということだ。
つまり、世界がこぞってイランに対する、新たな経済制裁を実施したとしても、イランはそれに耐えられるだろうし、核兵器の開発を進めるということだ。したがって、イランに対する経済制裁を発動しても、核兵器開発を止めることはできず、単にイランに開発の時間を、与えるに過ぎない。したがって、軍事攻撃をかけてイランの核施設を、破壊すべきだということであろう。
イスラエルの将軍もキッシンジャー博士と、同じ考えなのであろう。イスラエルの将軍はイランに対する攻撃については語ってはいないが、イスラエルの北部の危険除去のために、レバノンンのヘズブラを攻撃すべきだと語っている。
イスラエルの情報によれば、レバノン南部のヘズブラの拠点には、ミサイルを操作する目的であろうか、イランの軍人が多数入っているということだ。
つまり、イスラエルがレバノンのヘズブラ拠点を攻撃するということは、同時に、イランとの軍事緊張を生むということでもある。
イランはイランで、イスラエルによるレバノンのヘズブラや、シリアに対する攻撃を、座視しないと言っている。つまり、そうなった場合、イランはイスラエルを攻撃するということだ。
キッシンジャー博士の発言もイスラエルの将軍の発言も、極めて重い意味を持っていると、受け止めるべきであろう。イスラエルのネタニヤフ首相も同様に、イスラエルの危険を除去することを力説している。
アメリカ、イスラエルの要人が、口を揃えてイラン攻撃の必要性を語ったのでは、イラン側もそれ相応の対応を、真剣に考慮せざるを得まい。そうなると、折角トルコやブラジルが協力して、イランの核燃料処理の妥協点を取り付けても、何の意味もなくなる可能性がある。
この問題で、一番世界に訴えうる立場にあるのは日本であろう。日本は唯一の被爆国だからだ。それは、イランに対する軍事攻撃で、小型核爆弾を使用する必要が持ち上がっているからだ。トルコと日本がイランの核問題、しいては世界経済崩壊のきっかけとなりうる問題で、協力姿勢を取れないものだろうか。支持率低迷の鳩山内閣にとって、世界的な貢献の出来る、大舞台ではないのか。