3月に行われたイラクの選挙で、アッラーウイ氏の率いるイラーキーヤ党が、最大当選者を出し、組閣の権利を得たかに見えた。現役のマリキー首相の率いる法治国家連合は、第二位に留まったのがその理由だった。
しかし、その後、マリキー首相が選挙の票計算が正しくないとして、票の再計算を要求し、選挙管理委員会はそれを認め、一部の地域で票の再計算が行われた。あわせて、旧バアス党員果が当選者の中にいるとし、彼らの当選を失格にさせるよう働きかけもした。
あわせて、シーア派の政党間連合も画策した。しかし、そこで出てきた新たな現象は、マリキー氏を首相には就任させない、というシーア派の意見が出始めた。マリキー首相にとっては大誤算であったろう。
そうしたなかで、サドル師が新しい人物を、推薦し始めている。彼の名はジャアファル・サドル師だ。彼を推薦する前から、サドル師はいずれかのジャアファルが新首相になるべきだ、と語っていたということのようだ。そのジャアファル氏とは、元首相のイブラーヒーム・ジャアファル博士であり,もう一人はいま取り沙汰され始めた、ジャアファル・サドル師だ。
ジャアファル・サドル師はサダム・フセインによって殺害された、孤高のアヤトラ・オズマであったムハンマド・サドル師の唯一の息子であり、リビアで行方知れずとなった(殺害された?)、ムーサ・サドル師の甥でもある。
つまり、イラクのシーア派のなかでは、誰もが認めざるを得ない、立派な家系の出であり、しかも、イスラムの学者でもあるのだ。彼は「サドルはどの党にも属さない、イラクのものであり、イラクはサドルのものだ。」と語っているということだ。つまり、彼はイラクのために存在するのだ、と自分を説明しているのだ。
彼、ジャアファル・サドル師が首相に立候補すれば、大抵のシーア派出身者は、首相候補の座から退かなければなるまい。
果たして、ジャアファル・サドル師はイラクの新首相に就任できるのか、もしそうなった場合、アッラーウイ師が率いる世俗派の、イラーキーヤ党の支持者たちはどう対応するのか、もう少し様子を見たいものだ。