パレスチナ占領地ガザのハマース政府は、エジプトがガザとエジプトの国境にある密輸用トンネルに対し、毒ガスを流し込み死者が出た、とエジプトを非難している。
この密輸用トンネルの存在は、大分前から知られており、そのトンネルを通って、エジプト側から食料品、医薬品、燃料、などありとあらゆるものが、ガザ地区に持ち込まれている。
言ってみれば、この密輸用のトンネルは、ガザの150万住民の、生命線ともいえるものなのだ。だが、この密輸用のトンネルはそうした生活必需品ばかりを、運んでいるわけではない。武器もテロリストも、このトンネルを通って、エジプト側からガザに入っているのだ。
このため、イスラエルは空爆でトンネルを破壊しているし、エジプトに対してアメリカと共に、密輸用トンネルの閉鎖を強く要求してもいる。
しかし、実際にはエジプト政府に、完全にトンネルを閉鎖することは、無理なようだ。それは、ガザとエジプトとの国境線の距離が15キロあり、ガザ側のあらゆる場所から、トンネルが掘られているからだ。その密輸用トンネルの数は、1300から1500もあるというのだ。
しかも、この密輸用のトンネルは、ハマースが掘らせているものばかりではなく、犯罪グループによって掘られているものもある。そのためハマースとしても、コントロールできないでいるのだ。犯罪グループは儲かるものは、何でも持ち込んでいるが、そのなかには、麻薬も武器も犯罪者、テロリストまでもが含まれているのだ。
イスラエルとアメリカから、対応を強くせまられているエジプトは、ついに鉄鋼板を地下10メートルほどまで、打ち込むこむことによって、ガザ側からトンネルが掘り難くしようとしているが、何処まで成功するか分からない。
ハマースはエジプトの警察によって殺害された、トンネル密輸に関わるパレスチナ人の数が40人以上、トンネル内で死亡したパレスチナ人の数は45人を超えているということだ。
具体的に何人が毒ガスで死亡したのは不明だが、この毒ガス使用というハマースの主張は、エジプトにとって極めて不名誉な話であろう。
それは、イスラエルにとっても、皮肉な話ではないか。彼らイスラエル人が世界に向けて主張している、ナチによる毒ガス大量虐殺と、イメージがダブルからだ。エジプト政府は当然、このハマースの主張を否定しているが、嘘であってほしいものだ。