イラク選挙当選者バアス党関係者で失格

2010年4月27日

 さる37日に実施された、イラクの国会議員選挙の結果、元イラク首相のアッラーウイ氏が率いる、イラーキーヤ党が最大の当選者を輩出したことは、既にお伝えした。

この選挙結果を受け、最初に他党との間で連立を組み、内閣を構成する権利がアッラーウイ氏に与えられた。連立を組むのはイラーキーヤ党も、過半数に満たなかったからだ。 

 問題はこの選挙結果により、結果に従って組閣を進め、アッラーウイ氏が新たな首相に就任することになれば、現職のマリキー首相は、その座を追われることになる。

 マリキー氏は選挙結果が不正であり、票の集計に問題があったとして、票の再計算を要求し、それが受け入れられた。しかし、今回の選挙をめぐり、それ以上の問題が発生している。

 独立系の高等選挙委員会が、当選者の過去を調べた結果、52人の当選者は旧バアス党の関係者であることから、失格だと判定を下したのだ。その52人のうちで明らかにされた2人の失格者は、アラーウイ氏の率いるイラーキーヤ党のメンバーだ。

 それ以外に失格となった当選者については、まだ明かされていないが、失脚の理由が旧バアス党関係者であることを考慮すると、アッラーウイ氏の党のメンバーがほとんどであろう。

 アッラーウイ氏の率いるイラーキーヤ党は、僅差でマリキー首相の政党に勝利していることから、23人が失格になることは、即、組閣の権利を失うということに繋がる。

 従って、今回のこのイラクの高等選挙委員会の判断は、イラク国内を危険な状況に、導くことにもなりかねない。それは、失格者たちが黙ってはいないし、彼らの支持者も黙ってはいないからだ。 

 事と場合によっては、イラクが再度内乱状態に陥る、危険な要素を含んだものだということだ。マリキー首相は彼の首相の座を守り通すために、この危険な動きに出たのか。あるいは、高等選挙委員会が独自の立場で、あくまでもバアス党解体法に基づいて、行ったのか定かではない。

 いずれにしても、今後、イラクではテロが頻発する可能性が高くなろう。そうなればアメリカ軍もあっさりと、予定通りにイラクを離れるわけには、行かなくなるのではないか。

 そのような状態を望むのはマリキー首相か、あるいはアメリカ政府なのかは皆さんに想像していただきたい。