イスラエルはイランを攻撃しないとバイデン

2010年4月23日

 アメリカのバイデン副大統領は、イランに対するイスラエルの軍事攻撃の可能性について質問を受け、アメリカと相談しないで、イスラエルが単独でイランを攻撃することは無いと明確に語った。

 確かにそうであろう。イランに対する攻撃は同様のイラクの核施設に対する攻撃や、シリアの核施設に対する攻撃のように、一方的なものでは終わりそうにないからだ。

 アメリカとしても、イラン攻撃が完全ゲームで終わればいいが、なかなかそれは難しいということから、軍事攻撃を出来れば避けたいとも考えていよう。だからこそ、軍事攻撃を避け外交交渉で解決しよう、とここまで頑張ってきたのであろう。

 しかし、イスラエルにしてみれば、外交交渉による解決はあり得ないと判断しており、アメリカの弱腰対応に相当焦りを感じているはずだ。誰が考えても、イランがこの段階で全面降伏し、核開発をやめるとは思えない。

イランはあくまでも核兵器製造ではなく、平和的なエネルギー確保を目的としているものであり、イランにもその権利はあると言い続けよう。

アメリカは国連安保理の決議に基づいて、イランに対する制裁を強化したい、その段階では、イランがガソリンを輸入できない状態にし、かつイランが原油輸出できなくなる状態を、生み出したいと考えている。

しかし、これに中国は納得できまい。イランから中国は大量の原油を輸入しているからだ。中国にとってイランはエネルギーの供給源であると同時に、自国製品の輸出先国でもある。バイデン副大統領は中国も近く制裁に賛成する、と語っているがそう簡単ではなかろう。

イスラエルは時間が経過するほど、核兵器製造が近付いている、と判断するであろう。イランはたとえ新たな経済制裁を受けたとしても、核開発を続行するであろう。

そうなると、アメリカ国内の右派やユダヤ・ロビー、親イスラエル派がイスラエルと同調し、イラン攻撃をすべきだという強硬論をアメリカ国内と世界に向けて展開することになろう。

アメリカとイスラエルによる、イランに対する核施設への軍事攻撃は、いまだに現実のものとして、存在しているということだ。