アラーウイは首相失格者という法律判断

2010年4月 4日

先のイラク選挙で、91人の当選者を出し、第一党となったイラーキーヤ党のリーダーであるイヤード・アッラーウイ氏は、他党との連合を組み、最初に組閣する権利を有している。

しかし、ここに来てイヤード・アッラーウイ氏の首相就任に対し、異論が出始めた。それは、今後のイラクの明暗を、決める大きな問題となりそうだ。

ターリク・ハビーブという名の政治専門家が、この異論を唱え始めたのだ。彼の主張によれば、イラクの憲法第77条には「イラクの首相に就任できるのは、両親がイラク人である事が条件。}と定められているというのだ。

イヤード・アッラーウイ氏の場合、父親はイラク人だが、母親はレバノン人だというのだ。したがって、ターリク・ハビーブ氏の解釈によれば、イヤード・アッラーウイ氏は首相に就任できない、ということになる。

同様の理由で、SICI(イスラーム最高会議)のメンバーである、アーデル・アブドルマハデイ氏も父親はイラク人であるが、母親がシリア人であることから、首相には就任できないということだ。

そうなると、残る有力な首相候補はマリキー氏ということになる。確かに憲法にはそう記されてあるかも知れないが、これではあまりにも、マリキー氏に有利な説明ではないか。

イヤード・アッラーウイ氏のイラーキーヤ党のメンバーや、アーデル・アブドルマハデイ氏のイスラム最高会議のメンバーが、これでは怒り出すことは必定であろう。

憲法の厳密な解釈をすればそうであろうが、これではイラク国内で再度内乱が起こる、危険性が高くなろう。そもそも、イヤード・アッラーウイ氏のイラーキーヤ党が、最多の当選者数を出すことができたしたのは、イラク国民の多くが、安定した状態を実現して欲しい、と願っていたからではなかったのか。

そして、もう一人の首相候補者であるアーデル・アブドルマハデイ氏は、イスラム最高会議のメンバーだ。つまり、イラクのシーア派の大派閥である、ハキーム師の組織のメンバーなのだ。

 このことは、これからイラクで何が起こるのかを予測する上で、重要なポイントであろう。願わくば、このことに日本のマスコミの中東特派員諸氏は、出来るだけ早く、気が付いて欲しいものだ。