元IAEAの事務局長を務めたエルバラダイ氏が、いまエジプトで2011年に行われる、大統領選挙に立候補する、という噂がもっぱらだ。
実際に、エルバラダイ氏の立候補は噂だけではなく、現実のものとなる可能性が、高くなってきている。その手始めに、エルバラダイ氏はエジプト各地を回り、大衆との接触対話を始めている。
たとえば、カイロの旧市街にあるフセイン・モスクでの金曜礼拝の後、彼は多くの人たちと接触しているし、ナイル・デルタの町マンスーラにでかけ、コプト教徒との対話集会を行ってもいる。
いまのところ反応は良好であり、エルバラダイ氏の訴える「エジプトは一つ」という彼のスローガンに、反対する向きはないようだ。
エジプトの各政党の反応はと言えば、与党の国民民主党の場合は「エルバラダイ氏が法律に従って、どこかの政党から立候補するのであれば、何ら問題はない」。というものだ。そして、タガンムウ党はまだ対応を決めていないようだが、選挙のあり方を変えるべきだという意味では、エルバラダイ氏と同一歩調をとっている。
アハラム研究所のオマル・ショベイキ研究員は「エルバラダイ氏は大衆の支持を取り付けて、政府に圧力をかけるつもりだ。」と評している。オマル・ショベイキ氏が指摘するように、エルバラダイ氏は政党に加わって、大統領選挙に立候補するのではなく、あくまでも単独で、立候補するつもりのようだ。
はたして彼が考えているように、大衆を味方につけることによって、政府に選挙法を変更させ、既存の政党に加わることなく、単独で大統領選挙に参加することができるのか否かは、今のところ不明だ。
エジプト最大の野党勢力であるムスリム同胞団は、エルバラダイ氏の大統領選挙立候補について、「エルバラダイ氏は変革のリーダーであり、彼は唯一エジプトの政治を変革できる人物だ。政府には彼の立候補を止めることはできないだろう。」とみている。
温度差はあるものの、こうした野党勢力のエルバラダイ氏支持への動きが、果たしてエジプトの選挙法を変革させ、エルバラダイ氏が望んでいるように、単独での大統領選挙参加が、可能になるのか否かはまだ先の判断であろう、