ソロモンの神殿は再建されるのか?

2010年3月29日

 最近、イスラエルがソロモンの神殿を、再建するという話が、しきりに話題に上るようになってきている。もし、ソロモンの神殿が建設されるとすれば、それは第三神殿ということになる。

 述べるまでも無く、ソロモンの神殿は旧エルサレムの、テンプル・マウント(アルアクサモスクがあるところ)に建設されることになる。そして、その前兆とも言える同地への、シナゴーグ(ユダヤ教の教会)の建設が、だいぶ明確になってきている。

 このシナゴーグは、1967年に起こった第三次中東戦争まで存在していた、フルワ・シナゴーグだが、シナゴーグの再建そのものには、あまり特別な意味はないだろう、と我々には思えるのだが。

 しかし、ユダヤ教のラビ(聖職者)の語るところによれば、このシナゴーグが再建された後で、ソロモンの神殿が再建され、世界は終末戦争に突入するというのだ。そして、それがイエスキリストの再臨に、つながるということだ。

 このような話を聞いても、宗教的におおらかな日本人には、ピンとこないだろうが、ユダヤ教徒やイスラム教徒、キリスト教徒の間では、大問題になっているのだ。もちろん、ユダヤ教徒はシナゴーグの再建を支持し、キリスト教徒もイエス・キリストの再臨となれば、支持することになる。受け手の側のイスラム教徒も、真剣にこの可能性を検討することになろう。

 実際に、イランのアヤトラ・シラーズイ師は、「イスラエルがテンプル・マウントにシナゴーグを建設し、次いでアルアクサ・モスクを破壊し、ソロモンの神殿を再建する。」と語り、イスラム世界全体に対し、警告を発している。

 このアヤトラ・シラーズイ師の警告通り、今エルサレムでは、ソロモンの神殿再建図が、バスの横腹に貼り付けられ、再建を急ぐべきだという宣伝が、行われている。その宣伝をしているのは、ユダヤ教のラビであるシャロム・ドヴ・ヴォルプ氏や、活動家のバルーチ・マルゼル氏だということだ。

 彼らは「アルアクサ・モスクや岩のドームは、テンプル・マウントに存在すべきではない。」と語っている。しかも、「ソロモンの神殿の再建は、来年に始まらなければならない。」とも主張しているのだ。

 こうした動きが現実のものになってくれば、アラブ諸国はもちろんのこと、イスラム世界全体が、激しく反発するだろう。西側イスラエル寄りで知られる、ヨルダンの国王も遂に、腰を上げざるを得なくなったようで、エルサレムを守ると語っている。

 聖域、神聖なモスクをめぐっては、アラブ諸国もイスラム教徒の穏健派も、口をつぐんでいるわけにはいくまい。権力者がこの問題を放置すれば、大衆は確実に立ち上がり、政府打倒を叫ぼう。