イランの核兵器は単なる噂とエルドアン

2010年3月17日

 イランが核兵器開発に向っているということが、アメリカによって強く非難され、イスラエルは自国の安全を考え、アメリカの支援がなくとも、イランの核施設を空爆する、と息巻いている。

 アメリカとイスラエルの勢いに押されてか、EU諸国もイランに対する新たな制裁を、早急に果たすべきだと言いだした。しかも、国連安保理で新たな制裁への合意が、生まれないのであれば、EU単独ででも、実施すべきだとまで言い出している。

 そうした雰囲気の中で、こうした世界の流れとは全く別の意見を、トルコのエルドアン首相が言いだした。彼曰く「イランの核は噂にすぎない、中東の国々は何処も、核兵器を持つことを望んではいない。」というのだ。

 しかも、エルドアン首相は、イランの平和的核開発が問題であるのに、何故イスラエルの核兵器は問題ではないのか、とも発言しているのだ。まさに、核心を突いた発言といえよう。

 そのうえで、エルドアン首相は、20パーセントに濃縮されたウラニュームと、低濃縮のイランの製造したウラニュームとの交換場所に、トルコがなることも、提案している

 一見、唐突とも言える、エルドアン首相の今回の発言は、実はイランに妥協の窓を開いた、ということではないかと思われる。こぶしを振り上げて、引っ込みがつかなくなった、アメリカやヨーロッパ諸国、イスラエルに対して、トルコがイランのメンツを保ちながら、妥協できる余地を、作ったのではないか。

 問題は、これにイランがどう応えるか、ということであろう。アハマド・ネジャド大統領やハメネイ師が、エルドアン首相の発言を受け止め、それなりの妥協の姿勢を示し始めれば、状況は急激に好転する可能性もあろう。

 エルドアン首相の発言で、いまのイラン政府の最高権力者群に、それだけの腹がある男がいるか否かが、試されることになったのではないか。