トルコの不動産外人客には法が不整備で難

2010年3月14日

 長い冬の季節を抱えている、北ヨーロッパの国々の人にとっても、比較的温暖とされる、中部ヨーロッパの国々の人たちにとっても、地中海沿岸は夢のような場所であろう。

 もう5-6年前の話だが、友人のトルコ人たちに、2キロ程度の幅で地中海やマルマラ海、エーゲ海の海岸の土地を買っておくべきだ、とアドバイスしたことがある。述べるまでも無く、この地域の土地はヨーロッパ人を始めとした、世界中の人たちにとって、最高のリゾート地だからだ。

 しかし、ほとんどのトルコ人は、私のアドバイス通りには動かなかった。ヨーロッパの人たちにとって、なかでも北ヨーロッパの人たちにとって、地中海沿岸の土地が、どれほど魅力的なものであるのかを、あまり理解できなかったのであろう。

 その後、しばらく時間が経過すると、トルコ政府が地中海沿岸を始めとした海岸線の土地の、リゾート開発を始めるというニュースが流れた。そのとき私は得意になって「やっとトルコ政府が、自国の領土の何処が価値あるのかを理解した。」とトルコ人の友人たちに語ったものだ。

 しかし、ここに来て海岸線の土地の価値は、トルコ政府も外国人も認めたものの、法整備が不十分なためにトラブルが多発し、不動産人気にかげりが生じ始めている、というニュースが流れてきた。

 不動産を購入した外国人が、その所有権を登記する上で、幾つもの問題が発生しているというのだ。不動産を購入して代金を支払っても、その不動産が購入者の名義に、なかなかならないというのだ。それどころか、不登記ということで、購入したはずの土地が凍結され、建物を建てることも、土地の整備をすることも、不可能になっているケースが、多いということだ。

 これはトルコに限ったことではないのだが、海岸線の土地は軍部から見れば、重要な戦略地であり、リゾートの乱開発を放置しておくわけには、行かないの。土地の登記には軍の許可が必要であったり、地方自治体の許可が必要であったりと、面倒な仕組みになっているらしい。

 いずれにしろ、そのことがいまトルコ国内で、話題になり始めたということは、トルコ政府による法改正が、間も無く始まるということではないか。トルコの沿岸部は実に魅力的なところだ。私ですら金と時間さえあれば、そこに家を買って老後を過ごしたい、と夢見ることがしばしばだ。トルコは野菜、果物が豊富でしかも安い。人は人情深く、気候温暖とくれば、ヨーロッパの年金生活者にとっては、老後の居住地としては申し分なかろう。