ハタミ元大統領出国禁止か?

2010年3月10日

 イランの大統領を務め、日本でもよく知られるハタミ師が、いまイランからの出国を、さし止めされている、という情報が流れている。この情報は革命防衛隊筋から、出てきているのだが、果たしてどうなのか。

 ハタミ師の立場は現在、決して政府から歓迎されるものではない。なぜならば、昨年6月の大統領選挙で、彼はアハマド・ネジャド候補(現大統領)ではなく、ムサヴィ氏を推していたからだ。

 選挙の後も、ハタミ師はアハマド・ネジャド体制に対する、批判を行ってもいた。その結果、アハマド・ネジャド大統領を支持する革命防衛隊は、ハタミ師に対して、厳しい見方をしているのであろう。

 イラン外務省高官は、この情報を否定し、ハタミ師が国外に出ることは、何ら規制されていないと語っている。事実、イラン外務省はハタミ師が最近、パスポートのページを増やす手続きを行った際に、何の問題もなくそれに、応じているということだ。

 しかし、イラン情報部の高官は、ハタミ師が国外に出ることを、禁止されていると語っている。つまり、それは公式には、ハタミ師の自由な出国が認められているとしながらも、実質は不可能な状態になっている、ということではないか。

 ハタミ師に対してそのような措置が、裏側でとられているということは、ムサヴィ氏やカロウビ師も、同じような扱いなのではないか。イラン国内では、アハマド・ネジャド大統領の体制が、日に日に反体制側の代表的な人士に対し、締め付けを強化してきている、ということであろう。

 そのことは、イランがいま国内的に、結束する必要がある、ということであろう。イランの核をめぐるアメリカの締め付け、イスラエルの追い込みは、否応なしにイランを、緊張させているのではないか。