アメリカのCIAとパキスタンのISIは、共に国を背負って立つ情報機関ということで、緊密な関係を維持してきていた。特に、アフガニスタン対応では、アメリカにとってパキスタンの情報部(ISI)は、最も信頼できるパートナーであった。
しかし、ここ1-2年、両者の信頼関係には溝が発生し、お互いが邪魔しあったり、情報をリークし始めたりしている。アフガニスタンの原理主義者たちと、パキスタンの原理主義者たちの関係がいいことに加え、パキスタンの情報部は、アフガニスタンの各派との関係を維持しながら、対応を行ってきていた。
最初のうちは、それはある意味では当然のこととして、アメリカも黙認してきたわけだが、だんだん我慢の限界に達したのかもしれない。あるいは、パキスタンの進め方と、アメリカのそれとの間に、食い違いが生まれてきたからであろうか。
パキスタンの民間人に対する情け容赦のない、アメリカ軍の攻撃の仕方は、さすがに、パキスタンの軍人たちの琴線に、触れたのであろうか。
パキスタンのISI(情報部)の、元トップであるグル将軍が、最近になって、アメリカの情報部の手口をばらし始めた。いわく、イランの反体制派であるジュンドッラーは、CIAの支援を受けている組織であり、イラン内部の不安定化を、狙ったものだと語っている。
グル将軍は、アメリカにはパキスタンとイランとの関係を、こじらせようという意思もあるとも語った。つまり、これ以上、アメリカの言いなりになっていたのでは、パキスタンは自国の利害を、侵されると思ったのであろう。
イランのスンニー派の反体制組織である、ジュンドッラーを指導しているアブドルマリク・リギ氏が、キルギス行きの飛行機に乗っていたところを、イラン側に捕まり、PTV(イランのプレステレビ)とのインタビューで、アメリカから無制限の支援を、約束されていたことを明かしている。
アメリカと距離を置いたパキスタンの今後はどうなるのか、イランの将来と合わせ関心の持たれるところだ。