始めから裏があると思えてならなかった、ムハンマド・マブフーフ氏暗殺への各国の対応が、ここにきてようやく、表面化し始めたようだ。
事件後間もなく、ドバイ警察はイスラエルのモサドによる犯行だ、と決めつけて、何度となく「モサド犯行説」を強調した。失礼ながらドバイ警察に、それほど迅速に犯人割り出しが、できるとは思えないのだが。
イギリスなど容疑者が所持していたとされる、パスポートを使用された国々は、押し並べてイスラエル非難を始めた。イギリス、アイルランド、フランス、ドイツといった国々がそれだ。
そればかりか、全ヨーロッパの国々が、イスラエル非難を始めてもいた。まさに、それまで抑え込まれていた、反ユダヤ感情を、ヨーロッパ人が一気に爆発させるには、うってつけの口実が、できたという感じさえしていた。
こうしたヨーロッパ諸国の動きに対し、イスラエル政府は犯行を、認めも否定もしない、あいまいな対応をとってきている。イスラエル政府のそうした事件への対応が「ネタニヤフ首相暗殺部隊激励」「ネタニヤフ首相暗殺部隊を激賞」といった報道を生み出したのであろう。
しかし、ここにきてイスラエルは、ハマースの幹部マハムード・ナセル氏の発言として「犯行はアラブ」ということを報じ始めている。情報元はアルクドス・ル・アラビー紙で、それをロイター通信が伝えたとしている。
イスラエルのルサレムポストによれば、アラブのなかの穏健派諸国にとって、ムハンマド・マブフーフ氏は暗殺対象になっていた。エジプトやヨルダンの情報機関は、ムハンマド・マブフーフ氏の暗殺機会を、狙っていたというのだ。
ムハンマド・マブフーフ氏はハマースの、武器調達の総責任者であり、イランとの関係が深く、ハマースばかりか、他のイスラム・グループにも、武器を調達していたということのようだ。
ドバイ警察はFBIにも、捜査協力を依頼しているようだが、これからどのような事実(?)が出てくるのか、興味がそそられる。どうやら、この事件に関わっているのは、ハマース、イラン、イスラエル、ドバイだけではなさそうだ。