ムサヴィ氏の死を賭けた限界を超える発言

2010年2月 5日

 数日前の話になるが、イランの大統領候補者だったムサヴィ氏が、死を賭けた、あるいは命を賭けた、としか思えない、危険な発言をしている。イランの国内分裂は、そのレベルにまで達している、ということであろう。

 彼は現体制を、専制政治であり、独裁体制だと非難したのだ。そして、それはパーレヴィ王制時代から、続いているものであり、革命はいまだ達成されていない、と言ったのだ。

 パーレヴィ王制を打倒した時、専制や独裁を打倒したと思ったが、今では全くそれを、信じられなくなった、とまで言っているのだ。それは、専制的かつ独裁的傾向は、イラン国会、法曹界でいまだに顕著であり、法曹界に対する信頼は完全に、失ったとも語っている。

 ムサヴィ氏が言うように、法曹界は反体制派の2人を処刑し、11人を逮捕し、そのうちの9人を、近く処刑すると言っている。デモ参加者のなかで、4000人以上が逮捕され、投獄されて今日に到っているのだ。

 イランの現体制を打倒し、こうした状態からイランを救おうと、考えたムサヴィ氏は、2月11日の革命記念日には、デモに参加するように、イラン国民に呼びかけている。

 イランの有力者のなかには、大統領候補だったムサヴィ氏、カロウビ師、ラフサンジャニ師の娘ファーエゼ・ラフサンジャニ女史なども、例外とせずに逮捕投獄すべきだ、と主張している者もいる。

 昨日は、裁判官のなかから、処刑に反対する者が出てきたことは驚きだ、としてお伝えしたが、ムサヴィ氏も自分の生命を賭して、現体制を打倒しようと、決意を固めたのであろう。

 そうしたイラン国内の人士の行動に、世界がどう反応するのか、強い関心を抱かざるを得ない。