イランの反体制派に対する、アハマド・ネジャド政権の締め付けは、日に日に厳しさを増している、というニュースが流れてくる。
昨年の大統領選挙後、そして昨年12月のアシューラの祭り。そして、これから起こるのは、革命31周年記念をきっかけとする反体制派のデモ行進だ。
反体制派にとっては、革命31周年記念日は、おおっぴらにデモができる、いい口実であり、機会だということなのだ。
アハマド・ネジャド体制はそれを、何とか事前に阻止し、流血事件を起こして、世界から非難を浴びることを、避けたいと思っている。
政府の各部門は、いままでのところ、アハマド・ネジャド体制寄りの、立場を堅持してきていたが、ここに来て、その堅固な体制に、ほころびが出始めているようだ。
アハマド・ネジャド体制側が、アシューラのデモ参加者を、多数逮捕したことは、世界的に知られているが、アハマド・ネジャド体制側は、彼らの首謀者たちを、絞首刑に処することを希望している。
しかし、裁判官の一人が、絞首刑の判決を下すことを、拒否し始めたのだ。彼の名はサアーデク・ラリジャニ裁判官だ。彼は反体制側の逮捕者たちを、政治的意図で裁くべきではなく、逮捕者はあくまでも一般の法律、あるいはイスラム教のシャリーア法で、裁かなければならない、と主張している。
このサーデク・ラリジャニ裁判官の意見は、公式な法律関係者団体のサイトで発表されたものであり、当然のことながら、多くのイラン国民の、知るところとなっている。
アハマド・ネジャド大統領を支持する、強硬派の人たちがこれから、このサーデク・ラリジャニ裁判官に対して、どのような対応を採っていくのか、見ものだ。
今回の、勇気あるサーデク・ラリジャニ裁判官の主張は、イラン国民の間に知れ渡ると同時に、新たな反体制の動きを、生み出すのではないか。この発表と呼応するように、ノーベル賞を受賞した、シーリーン・エバーデイ女史も反政府の立場を、明確に打ち出し、アハマド・ネジャド体制非難を行っている。
こうなると、アハマド・ネジャド大統領は、外国の非難を、より一層受けることになろうし、ハメネイ師がアハマド・ネジャド大統領から、明確に離反することも考えられる。イランの国内対立は、ここに来て、一気に新しい段階に、突入していくかも知れない。ちなみに、革命31周年記念日は2月11日だ。