エジプトにIAEAの事務局長が帰国したということで、彼を大統領に推す声が上がった。それは、ムハンマド・エルバラダイ氏が国際的に知られる人物であったために、世界中で報じられた。
日本のマスコミも例外ではなく、このムハンマド・エルバラダイ氏の帰国と、大統領選挙への彼の参加の可能性を報じている。しかし、他の国の場合と日本の報道が異なるのは、日本の場合はニュースの受け売りだけだということだ。
ムハンマド・エルバラダイ氏が大統領に、本気で立候補を考えているのであれば、幾つもの関門を潜り抜けなければならない。彼の場合は、単独で立候補するわけであり、特定の党人ではない。そのことを考えた場合、彼の立候補は、限りなく不可能に近いのだ。
個人で立候補する場合には、エジプト議会、評議会、地方議会の議員、250人以上の推薦が必要であり、それをどうやって、彼が取り付けるかだ。述べるまでも無く、エジプトの議会は中央も地方も、与党でほとんどが占められており、野党議員もムハンマド・エルバラダイ氏を、推すような動きになれば、政府から圧力がかかることは必定だ。
しかも、エジプトの最大野党であり、組織力のあるムスリム同胞団は、ムハンマド・エルバラダイ氏とは、考えを異にしているようだ。それ以前に、ムハンマド・エルバラダイ氏が、どのような政治改革を考えているのかを、知る必要があると、ムスリム同胞団幹部は語っている。
悪い表現が許されるのであれば「ムハンマド・エルバラダイなんてノーベル賞を受賞した、世界的な著名人だが、どこの馬の骨か分かったもんじゃない。」というのが、ムスリム同胞団の彼に対して抱いている、正直な気持ちであろう。
ムハンマド・エルバラダイ氏は「憲法が改正され」「立候補者に対する規制が緩和されること」を条件としているようだが、そんなことは期待できない、というのがエジプトの実情であろう。
ムハンマド・エルバラダイ氏は、エジプト国民が政治に目覚め、立ちあがって彼を支援してくれることを、期待しているようだが、そんなことは起こりそうにない。それに、彼がエジプト国民を政治に、覚醒させる能力を持っている、とも思えない。つまり、砂漠の国の蜃気楼の話、ではないのかということだ。
M・エルバラダイ氏もう一度・日本の報道?
2010年2月24日