中央アジア諸国は日本の進出を期待している

2010年1月23日

 昨年12月には中央アジアの国の一つ、トルクメニスタンの大統領が訪日した。そのことは、この欄でご紹介したとおりだ。その折に、笹川平和財団が送った、日本を紹介する100冊の本は、大統領が持ち帰り、外国語大学に寄贈された。

 大統領はこの本の寄贈を喜び、外国語大学への寄贈には、本格的な式典が行われ、本のサマリーを作り、皆が読めるようにするように、指示してもいる。日本の戦後の発展を、早く多くの国民に学ばせたい、という強い意志の現れであろう。

 トルクメニスタンの大統領は、訪日のおり、日本科学技術センターを設置することも、宣言している。日本からトルクメニスタンに進出しようと思っている企業は、この計画に積極的に、賛同し協力すべきであろう。 

 今年に入り、ウズベキスタンから訪問の誘いがあり、1月の半ばに出かけた。そこで話し合われたことは、ウズベキスタンの地下資源開発に、日本が乗り出すことを、期待するというものだった。

 ウズベキスタンは産金国として知られているが、金ばかりではない。マンガン、リチウムなど、先端産業になくてはならない、レア・メタルが豊富にあるのだ。それを狙って、ロシアや中国が積極的に、進出を工作している、とのことだった。

 しかし、ウズベキスタン側は、ロシアや中国とではなく、日本との協力で、レア・メタル開発を進めたい、と強調していた。それは、日本の持つ高い技術と、開発のための資金があること、そして日本人は、信頼できるからだ、と語っていた。

 そこで、当方が助言したのは、レア・メタルの開発に当たっては、掘り出すだけではなく、加工し、第一次製品として輸出することを、条件とすべきだということと、開発に従事する労働者の健康に、十分留意すべきであり、それを進出の条件として、出すべきだと言ってきた。

 話は大分旧くなるが、1960年代の後半から1970年代にかけて、日本が東南アジアで材木を買いあさっていた頃、日本企業は現地人を雇うのだが、作業中に死亡した人たちに対して、十分な補償をしていなかった、という話を聞いたことがある。先進国となった日本は、現段階ではそのようなことはすべきでなかろう。

 ウズベキスタンの人たちは、外国語の能力が高く、3~5カ国程度の言葉を、自由に操れる人は少なくない。その意味では、進出が容易であろう。そして、ウズベキスタン人は極めて器用であり、細かい作業が出来る。ウズベキスタンの女性が得意とする、じゅうたんや刺繍、男性が得意とする、金属加工や木工などの製品は、少し工夫さえ加えれば、十分に日本で売れると思えた。

 日本企業には、ウズベキスタンのレア・メタル開発に進出することを進めるとともに、弱電、軽工業製品の製造にも、進出してもらいたいものだと、思えてならなかった。