イスラエルとトルコとの関係は、既にご報告したとおり、相当悪化している。つい最近は、トルコのテレビ番組「狼の谷」をめぐり、イスラエルのダニ・アヤロン外務次官が、在イスラエル・トルコ大使を呼びつけ、クレームをつけた。
その時の処遇が、極めて非友好的なものであったといわれている。ダニ・アヤロン外務次官は、訪問したトルコ大使と握手せずに、低いテーブルを挟み、自分の椅子は背が高く、トルコ大使には背の低い椅子に、座らせたということだ。
つまり、ダニ・アヤロン外務次官は、トルコ大使を見下すような位置で、対面したということだ。そして、テーブルの上には、通常は両国の国旗が置かれるのだが、このときは、イスラエルの国旗だけが、置かれていたということだ。
トルコ側が腹を立て、大使の召還を言い始め、険悪な状況になっている。そしてダニ・アヤロン外務次官の対応の裏には、アビグドル・リーバーマン外相の、意図があったといわれている。
アビグドル・リーバーマン外相は、イスラエルとトルコとの関係を、悪化させることを望んでおり、今回のイスラエル・トルコ関係の悪化への動きは、彼がダニ・アヤロン外務次官を、けしかけた結果なのだ、とトルコ側は見ている。
他方、バラク国防大臣はトルコとの関係が、イスラエルの安全上重要であることを熟知しており、今回の事態を重く見、トルコ訪問を思い立ったのだといわれている。
トルコ側はいまの状況下でも、バラク国防大臣を歓迎するだろう、とイスラエルのハアレツ紙は予測している。バラク国防大臣以外にも、ベン・エリエゼル労働大臣も、トルコとの関係を安定したものに、修復したいと望んでいるようだ。
このバラク国防大臣のトルコ訪問が、どのような形になるかが、今後の中東全域の状況に、大きく響いてくるのではないか。イスラエル側の動きにも、問題はあるが、トルコもあまりイスラエルに厳しく対応することは、両国にとって得策ではあるまいし、中東各国にとっても、利益にはならないのではないか。
トルコはあくまでも、イスラエルとイラン・アラブとの仲介役としての、役割を果たしていこうとするのであれば、攻めばかりではない、イスラエルへの対応も、必要なのではないか。