マリキーの首相の判断ミスがイラクに内乱を招くか

2010年1月11日

 今年3月7日に、イラクでは統一地方選挙が、実施される予定になっている。しかし、あるいはこの選挙が、イラク国内の大混乱によって、延期されるかもしれない、という可能性が生まれてきている。

 それは、イラクのスンニー派の有力候補の政党が、イラクの法律委員会によって、選挙に参加できなくなりそうな、雲生きになってきたからだ。同委員会の委員長である、アリー・ファイサル・アッラーミー氏が、スンニー派の候補者である、サラーハ・アルモトラク氏の立候補と、彼の政党からの立候補を、禁止するむねの発表を行ったからだ。

アリー・ファイサル・アッラーミー氏によれば、同党は旧バアス党の系列だということだ。バアス党の政治活動は現在、イラクでは禁止されていることから、ある意味では当然であろうか。

しかし、このアリー・ファイサル・アッラーミー氏の主張に対して、サラーハ・アルモトラク氏は、アリー・ファイサル・アッラーミー氏は、バアス党政権時代に、軍の将校だったと反論している。

問題は、このスンニー派の重鎮が、イラク・スンニー派の間で、最も人気のあるアンバル県の、ファルージャ出身者であり、マリキー政権に対し、痛烈な批判を、繰り返してきている。これまでも、彼の政党は選挙に参加するごとに、好結果を出し続けてきているのだ。

そうなると、問題は彼個人が、あるいは彼の政党から、立候補できないという問題だけでは済まず、スンニー派イラク人が、反マリキーで立ち上がる危険性が、出てきたということだ。

サラーハ・アルモトラク氏はこの問題を国連にまで、持ち込むと意気込んでいるが、その前に、イラク国内で暴発する可能性の方、が高いのではないか。アメリカがイラクからの撤退を始めたいま、このスンニー派の党の選挙参加をめぐる問題が、とんでもない足かせになるかもしれない。