あるアラブの国に赴任している友人の外交官は、極めて優秀だ。こちらが持っている情報のなかで、不明なものを彼に話すと、たちどころに答えが返ってくる。しかも、その答えのほとんどは、私にとって納得のいくものだ。
したがって、彼との話し合いは、有益であると同時に、愉快でもある。その彼が突然電話してきて、会おうということになり、昼食を共にした。そこでも話題はエジプト、リビア、パレスチナ、サウジアラビア、イラン、イエメン、トルコ、ヨルダン、スーダンなど多岐に及んだ。
そのなかで、少し気になる話があったので、ご紹介しておこう。それは、イスラエルがイランを、攻撃するのではないかという話だ。だいぶ前には、私以外にもその話を口にする人が、少なくなかったが、最近では、可能性さえ語らなくなっている。
しかし、最近になって再度書き始めているように、イスラエルとイランとの関係は、再度緊張の度を高めている。しかも、それは両国だけの間だけではなく、周辺諸国も巻き込んだ形に、拡大してきているのだ。
したがって、もし何かが起こり始めれば、周辺諸国にも危害は及ぶことになり、しかも、それを阻止するのは、同時に幾つもの国々や、組織を相手にしなければならないだけに、容易ではあるまい。
湾岸諸国はその危険を、十分に分かっている。なかでも小国であるバハレーンやカタールなどは、自国のシーア派国民の割合も多いことから、真剣に情勢を分析しているし、イランとの関係調整も行っている。
イスラルは何度も書いてきたように、極めてナーバスな心理状態になっており、限界を超えた行動に出る、可能性は高まってきている、と判断すべきであろう。自己防衛本能が過剰に働き、イスラエルが単独でも、行動に出る可能性が、否定できなくなってきているのではないか。
イラン国内も、外国の関与が激しくなってきたとし、ジャーナリストの逮捕や、デモ参加者に対する裁判での、死刑判決の声が拡大してきている。つまり、双方がある種の心理的、異常な状態に陥り始めてきているということだ。
友人は2月の後半が、一番緊張が高まるのではないでしょうか、と真顔で語っていた。私もその可能性を否定することはできない。大事に至ることがないに、越したことはないが、どうやら状況は、大事に至る可能性の方が、高まっているのではないか。その状況対応する準備が、日本にはあるのだろうか。