軍事連携は気危険回避チャンスを潰さないか

2010年1月 7日

 昨年末に、ハマースがイランとの、軍事連帯を宣言した。つまり、イランがイスラエルによって攻撃された場合、ハマースはイスラエル攻撃を、行うというものだ。同時に、ハマースとシリアとの間でも、似たような宣言がなされている。

 次いで、ハマースとヘズブラとの間でも、相互にイスラエルから攻撃を受けた場合には、イスラエル攻撃を断行する、という発表がなされている。

加えて、シリアとヘズブラとの間でも、似たような内容の発表があった。簡単に言えば、ヘズブラ、ハマース、シリアはそのいずれかが、イスラエルによって攻撃された場合、直ちに反イスラエルで、行動を起こすということだ。

 そして、イランが攻撃を受けた場合にも同様に、ハマースやヘズブラ、シリアが軍事行動に出るということだ。

 そのような軍事的連帯の発表は、一見勇ましく、頼りになりそうに思えるのだが、実際はそうでもあるまい。本来であれば、小規模で済むはずの戦闘行動が、拡大してしまう可能性が大きいからだ。

 シリア、イラン、ヘズブラ、ハマースという各国各組織の軍事的、防衛上の連帯は、抑止力になるというよりも、戦闘の被害を最小限でとどめる効果や、平和的解決の足かせになってしまう、危険性もあることを、忘れるわけにはいくまい。

 イスラエルが不安を高めていることから、あるいはイランに対する攻撃を実行するのではないか、という予測が出ているが、それに対抗する意味で、こうした共同防衛、連帯の発表が、出されたのであろう。

 しかし、実際にはイスラエルに対する、抑止力というよりも、中東全体が戦争に巻き込まれる、だから米欧に抑止してくれ、和平の仲介をもっと真剣にやって欲しい、という意味ではないか。

そうだとすれば、もう少し穏やかな表現を、使うべきではないのか。強気な発言は、結果的に自分の望む結果とは、全く反対の結果を生み出すことも、あることを忘れてはなるまい。