馬鹿げているエジプトへのクレーム

2009年12月29日

 エジプト政府がガザとのボーダーに鉄の壁を打ち込んでいることや、ガザとのボーダーを閉鎖していることに対する抗議が、ガザのパレスチナ住民や、ヨーロッパなどのガザ住民を支援する組織によって行われている。

 ガザのハマースはこのエジプト政府の決定を、戦争行為だと非難し、あたかもエジプトがイスラエルと同等の、敵でもあるかのように非難している。彼らはエジプト政府と国民が、これまでどれだけパレスチナ問題のために、犠牲になってきたのかを、忘れたとでもいうのだろうか。ヨーロッパの支援組織も、同じようなスタンスだ。

 しかし、何故エジプトがガザとのボーダーを、こうまでも強硬に閉鎖しようとしているのかを、考えてみる必要があろう。エジプトがガザに対して、強硬に対応している主な理由は、以下のようなものではないか。

1:ガザの惨状がエジプト国内に伝わり、エジプト内政に影響を与えることを恐れている。

2:エジプト政府に対して、イスラエル政府が強硬にガザとのボーダー封鎖を、要求している。

3:ガザのハマースが地下トンネルを通じて、武器を密輸している。

 ガザへの人道援助物資は、アシュドッドなどイスラエルの港から陸揚げするか、ガザの港から陸揚げすべきであろう。しかし、それを阻んでいるのは、イスラエルだ。従って、パレスチナ側はイスラエル政府に、抗議すべきであり、援助団体もイスラエルに対して、陸揚げを要求すべきであろう。

 しかし、現実はイスラエル政府が全く受け入れないことから、簡単に妥協しそうなエジプト政府に対して抗議し、あたかも問題の核心が、エジプト政府であるかのように、伝えられているのだ。

 パレスチナはこれまで、パレスチナの問題をアラブ全体の問題と語ることによって、自身の責任を回避してきている。イスラエルとの真剣勝負が行われたのは、この前のガザ戦争だけだったのではないか。しかも、そのガザ戦争ですらも、イスラエル側からの攻撃によるものであり、決してパレスチナ側からの、攻撃によるものではなかった。

 パレスチナ自治政府はガザ戦争時に、何の行動もイスラエルに対して取らず、ガザの住民が虐殺されるのを放置していた。これでは、イスラエル側は好きなように、パレスチナ人に対する敵対行動を取ることが出来よう。

 ガザの住民の窮状を世界に訴え、解決策を図りたいのであれば、援助物資はイスラエルからこそ、入れるべきであり、イスラエルにこそ、抗議すべきではないのか。エジプトは抗議すべき対象ではない。