トルクメニスタン大統領の訪日

2009年12月18日

 中央アジアの一国である、トルクメニスタンの大統領が日本を訪問した。訪問期間は短く、12月16日の昼に到着し、18日の早朝に大阪に移動し、視察をし、そこから帰国した。

 大統領は正式な訪問であったことから、到着した夜は鳩山総理大臣との夕食会、17日の昼には天皇陛下とお会いする機会を得た。

17日の午前と午後、天皇陛下との会見を挟んで、日本のビジネス界のリーダーたちとの会見も行った。私はビジネスマンではないのだが、旧来の知人であることから、17日の第一番に会見することとなった。

その会談のなかで、大統領は日本センターを設立して、日本に多くのことを学びたいと語っていた。その大統領の希望に応えるのは、日本政府であり、日本企業、そして日本国民だと思う。

まさに官民が一体となって、トルクメニスタンの発展に協力する、ということだ。同じアジアの先進国が、後発国を支援するのは、道義的義務であろう。あるいは打算的な考えからすれば、世界第四位のガス埋蔵量を有するトルクメニスタンとの関係は、良好なものに保つべきであろう。

 トルクメニスタンの首都を訪問すればわかることだが、現在、トルクメニスタンでは首都を始め、猛烈な建設ラッシュが起こっている。かつてのドバイを彷彿させるような光景だ。それが可能になっているのは、言うまでもない、ガス輸出によって得ている、膨大な資金があるからだ。

 今回の訪問時で、大統領が力説していたのは、日本の進んだ技術を導入したい、それを自分たちの技術にしたい、ということだった。当然、日本企業による各種設備の建設(精油所など)も期待されている。

 ある企業が、石油関連の工事受注を試みたところ、大統領に「あなたの会社の見積もりは他と比べて2倍だ」と言われて悩んでいた。そこで私は「それは冗談ですよ」と言ってあげた。何割か高いというのは、そのまま受け止めるべきだが、2倍だというのは冗談として聞くぐらいの、腹が必要であろう。

 日本人のスケールが、小さくなってきているのかなあ、というのが私のその時抱いた感想だった。アジアは広い、いろいろな国家があり、民族が住んでいる。資源も多岐にわたり、可能性も限りなく高い。

 そのアジアを、日本人のアイデアと汗で創り変えるぐらいの気持ちを、日本人、特に若い人たちには持って欲しいものだと感じた。