イラン米共に戦争回避の方向だが

2009年12月13日

 最近のイランの欧米に対する対応を見ていると、何処かに余裕のようなものを感じることがある。イラン国民や政府は、アメリカあるいはイスラエルの攻撃を、全く想定していないわけではないのだが。

 イラン政府はIAEAの警告や、欧米諸国の経済制裁への動きに対して、特別に影響を受けることは無いと強弁し、核燃料の処理についても、相変わらず頑固な立場を貫いているようだ。しかし、そのことは戦争を辞さず、という意味ではなかろう。

 アメリカ側も同様に、イランに対する軍事行動を、起こしたいとは考えていないようだ。出来れば、平和的な(イランから見れば挑発的な)方法で、イランの核問題を処理したい、と考えている。従って、イラン、アメリカ双方共に、急激に緊張状態を作り出すことはありえまい。

 そうしたイランとアメリカの、いわば馴れ合いの緊張状態に、不安を募らせているのはイスラエルだ。イスラエルがつい最近、トルコの領空を侵犯したことで、トルコ政府がイスラエルに対し、厳重な抗議を行っている。その記事のなかには、領空侵犯の理由を、イラン国内の偵察だとしていた。

 イスラエルは同盟国である、トルコの領空を侵犯してまでも、イランの偵察をしたいということであろう。そのことは、イスラエルがアメリカやイランが考えているよりも、事態を重大に捉えている、ということではないか。

 最近、シリアとイランは軍事的協力関係を強化し、ヘズブラはレバノン政府が、武器を保持することを公に認めている。パレスチナのハマースも、新たなより本格的な、イスラエルに対する攻撃を、準備しているといわれている。

 このような状況を見ていると、イスラエルが場合によっては不安が募り、イランに対して、軍事攻撃をしかける可能性が無いとは、言い難いのではないか。以前に、イスラエルがイランを1月に攻撃する、という推測記事があちこちで出ていた。まんざら推測だけではないかもしれない、来年は今年よりも、緊張が高まることだけは確実であろう。