アメリカ軍のアフガニスタン増派と日本

2009年12月 7日

 アメリカのオバマ大統領が、アフガニスタンへの30000人の兵員増派を決めたことが、あちこちで話題になっている。この決定がアフガン戦争を、ベトナム戦争の二の舞にさせるのだ、と反対意見を述べる人たちも少なくない。

他方,アフガニスタンへの増派は、アフガニスタン問題解決への、突破口になると、オバマ大統領によるアメリカ軍の、アフガニスタンへの増派決定を、支持する人たちもいる。

 いずれが正しいかは、時間が答えてくれるだろうが、どうもアメリカが考えているほど、すんなりとはいかないのではないか。アメリカは軍を増派して、アフガニスタンの抵抗勢力を押さえ込み、それを持って作戦は成功したとし、アフガニスタンの軍や警察に後を任せ、アフガニスタン戦争でアメリカは勝利したとして、撤退しようと考えているのであろうが、それはうまくはいくまい。

誰かが指摘していたが、アフガニスタンのアメリカに対する抵抗勢力は、ベトコンと同じだということだ。つまり人民(大衆)の海のなかにもぐっているので、掃討などできないということだ。アフガニスタンの場合は、大衆そのものが抵抗勢力なのではないのか。

確かに、アメリカ軍が増派され、ところかまわず無人機で爆撃すれば、抵抗は一時的には攻勢を控えるかもしれない。しかし、それはあくまでも一時的なものでしかあるまい。しかも、アメリカの目算が外れて、増派したにも拘らず攻勢が続けば、アメリカ軍はアフガニスタンから撤退する、口実を失ってしまうだろう。

これまでもそうであったように、アメリカはアフガニスタンの抵抗勢力に金や武器を与えて、攻撃を控えるように仕向けなければなるまい。そうしたアメリカの手法を、NATO各国は熟知しているからこそ、口先では増派に賛成としながらも、実質はそうではないということではないのか。

トルコ政府は、早々と増派に賛成したが、戦闘員ではないと条件をつけている。あくまでも、復興支援、民生向上のため、という形を取るつもりのようだ。それですらやはり危険は伴おう。

NATO各国は、早々にアフガニスタンから、撤退できるような状況を作りたいことも、今回の増派受け入れの理由であろう。アメリカそのものが、早期の撤退を考えているのであろうから、無理からぬことであろう。

ところで、日本はスーダンに自衛隊員を派遣し、今度はアフガニスタンにも派遣するのではないかと思われる。口実はあくまでも、ISAFの旗の下に、ということであろうが、ISAFの旗は成田さんのお札より、効果が薄いのではないか。

アフガニスタンの抵抗勢力をなだめるには、金と武器の提供しか方法は無い。日本政府派アフガニスタンの抵抗勢力に、武器の提供はできないだろうから、結果的に金で片をつけるということになろう。さて、日本政府はどれほどの資金提供をお考えなのか?。アフガニスタンはほとんどと言っていいほど、日本の安全保障上も、資源獲得の上でも関係ない国だが、アメリカとのお付き合いに、そこまでやる必要があるのだろうか。

それなら一体、政府がアメリカと対等な関係と主張し、沖縄の基地でもめているのは何のためなのか、単なるジェスチアなら止めていただきたいものだ。安全保障はそんな生半可なものではあるまい。