トルコの周辺諸国への外交活動が、最近目立って成果を上げている。たとえば、これまでは無かったビザの相互免除に合意した国は、シリアやイラクのクルド、アルバニア、リビアといった国々だ。
これらの国々は、いずれも経済交流の活発化、平たく言えば貿易の拡大を合意しているし、投資や技術協力も行っていく、ということに合意している。リビアなどはこれまで、未払いとなっていた債務の支払いも、エルドアン首相の訪問を機に合意し、新たな大型計画のトルコ企業への、発注を決めてさえいる。
こうした国々の動きを見てか、ヨルダンもトルコとの踏み込んだ、協力合意を行うに到った。
ヨルダンのアブドッラーⅡ世国王は、トルコのギュル大統領のヨルダン訪問により、先月アンカラを訪問したヨルダン代表ナーデル・ダハビ氏と、エルドアン首相との間で、基本合意を交わしていた、協力項目について、正式に合意を交わしている。
合意内容は経済、技術、産業面での協力だが、相互の投資についても、合意に到っている。
トルコの通商大臣の語ったところによれば、2008年に4億8600万ドルだったトルコとヨルダンの通商額を、今後2年以内に、10億ドルまで拡大する方針だということだ。ちなみに、今年前半も両国間の貿易額は、1億5000万ドルの増となっている。また、トルコのヨルダン投資額は、9000万ドルにのぼっている。
トルコとヨルダンとの間では、ビザについても、ほぼ相互免除に到ったようだ。このようなトルコの周辺諸国への外交攻勢の勝利は、トルコが唯一、西側先進諸国に対して、思い切った発言が出来ることと、中東地域で最も工業力がついたためであろう。
アメリカがこのトルコの、中東地域諸国への台頭を許しているのは、トルコを中東地域のまとめ役にすることにより、アメリカの世界中への貢献の負担を軽くしよう、という意図かもしれない。つまり、トルコの中東地域での著しい台頭は、アメリカの弱体化の裏返しなのではないか。