サッダーム・フセイン元大統領の特別番組

2009年12月 2日

アメリカが大量破壊兵器を開発、し隠匿していると非難し、アルカーイダを支援しているとも非難した結果打倒した、イラクの元大統領サッダーム・フセイン氏の特別番組が、彼の処刑日を前後して、アラブ諸国のテレビ局から放映された。

 内容は、サッダーム・フセイン元大統領のスピーチや、軍服姿をはじめとする写真集、そして、サッダーム・フセイン元大統領が書いた詩篇などだった、といわれている。

 イラクはいまだに、アメリカの強い圧力の下にあり、このような番組を放映できないことは、誰にも分かろう。

どうやら、サッダーム・フセイン元大統領の特集番組を放映したのは、イラクのテレビではなく、アル・アラビーヤ(アラブ首長国連邦)やアル・ジャズイーラ・テレビ(カタール)、それにエジプトのナイル・サット・テレビ、ヌール・サット・テレビ(バハレーン)などだということのようだ。

もちろん、これだけ多くのテレビ局が、この特集番組を放映したのだから、イラク人の多くが番組を見ているものと思われる。

さて、そこで問題は誰がこの特集番組を制作し、各国のテレビ・ネットで放映したのか、というとこなるが、その真相はいまだに分かっていない。サッダーム・フセインの遺族や、旧バアス党の幹部たちも、番組への関与を、全面的に否定している。

そうなると、イラク戦争後に大金持ちになったイラク人実業家が、スポンサーになってこの番組を作らせ、放映したと考えるのが、普通であろう。あるいは、アメリカに敵意を抱いている、他のアラブの富豪が、画策したのかもしれない。そして、反米色の強いアラブ、あるいはイスラム国が、影のスポンサーになっているのかもしれない。

この特別番組の放映は、イスラム教の犠牲祭の日を前後して、実施されたようだ。そして、その中にはサッダーム・フセイン元大統領の処刑のシーンも、含まれていたということだ。

これが今後、どうイラク国内で、新たな反応を生み出してくるのか、実に興味深い。アメリカはこの特別番組放映阻止には、手が回らなかったようだ。