危険な兆候のニュース・武器の大量輸送

2009年11月 7日

 イスラエルとレバノンのヘズブラとの緊張関係が、最近また高まってきている。過去数ヶ月前には、イスラエルが現在のヘズブラの兵器装備状態が、レバノン戦争時よりも充実していることと、ヘズブラ側にイスラエル攻撃意図があることを、主張し非難している。

 そうした流れのなかで、今月3日、キプロスの東海上160キロの地点で、貨物船がイスラエル海軍によって拿捕され、イスラエルのアシュドット港に寄港することを強制される、という出来事が起こった。

 その船がイスラエル海軍によって捕まえられたのは、積荷が危険なものである可能性が高い、という情報がイスラエル軍に入っていたためであろう。確かにアシュドット港で積荷を上げ開いてみると、大量の武器兵器が入ったコンテナが、40本も積まれていたのだ。

 手りゅう弾、携帯ロケット弾、臼砲、3000発以上のミサイル、などだったということだ。それらの武器がIRISLとかかれた箱に詰まっていたのだ。ノベルまでもなくこのIRISL,とはイスラム・リパブリック・オブ・イラン・シッピング・ラインを意味している。

 この積荷はエジプトのダミエッタ港で積み込まれ、レバノンを経由してシリアの港に運ばれる、予定であったということだ。そして、シリアで陸揚げされたこれらの武器兵器は、レバノンのヘズブラに渡されるはずのものであったというのが、イスラエルの判断のようだ。

 つまり、イスラエルはレバノンのヘズブラが、イスラエルの民間人を殺害することを目的とし、大量の武器兵器を入手しようとしていた。そして、そのヘズブラに武器兵器を提供したのは、イランだったということだ。

 このイスラエルの主張は間違いなく、イランの国際社会での立場を、苦しいものにしよう。そのような危険な考えをしているイランが、核兵器も開発しようとしている。したがって、早急にイランの核兵器開発を、阻止しなければならない。そのためにはイスラエルには、イランに対し先制攻撃を加える、権利があるということであろう。

 実際に、イスラエルがイランを攻撃するのか、あるいは腹いせに、イランの代わりにヘズブラを攻撃するのかは分からない。しかし、最近になってIAEAのエルバラダイ氏が、「イスラエルのイラン攻撃は必要ない、やるべきではない。」と声高に唱えているところを見ると、イスラエルのイラン攻撃の可能性は、決して否定できる状況にはない、ということであろうか。イスラエルは今回の兵器運搬の貨物船拿捕で、以前よりもイラン攻撃、イラン非難の口実を得たということだけは確かなようだ。もちろん、今回の武器輸送について、レバノンのヘズブラもシリア政府も、関係ないと否定している。