便りの無いのは無事な証拠は中東では通じない

2009年11月 6日

      

(イラクのマリキー首相)

 最近中東各紙のブログを読んでいて、これといったニュースに出会わない日が多い。それは「便りの無いのは無事な証拠」の類か、というとそうでもないようだ。

 イラクでは来年一月の選挙に向けて、内部調整が行われているが、実態はだんだん各派の関係が、危ういものになってきているようだ。マリキー首相はアメリカの意向を受けてか、世俗的ともいえるスンニー派シーア派クルドにかかわらない体制を、組んで行きたいために、シーア派連合から離脱しての、選挙作戦を立てた。

 しかし、それではどうも選挙に勝てず、首相再任の可能性も薄くなると思ったのか、最近になって、シーアは連合に戻る動きも出てきているようだ。マリキー首相はアメリカの飼い犬になり、身の保全を図るべきなのか、シーア派のイランの影響を受けても、イラク人としての、自分の立場を守るのか。非常に難しい立場に立たされ始めているようだ。

 今後、イラク国内情勢は、クルドとシーア派スンニーとの、キルクークをめぐる問題で、混乱が予想される。そのなかでの選挙なだけに、流血、テロが増えていくことは必至であろう。マリキー首相の今後は。極めて危ういものになりそうだ。

 

(トルコ国内政治)

 エルドアン首相とダブトール外相とが、タッグ・マッチで進める{大トルコ主義=オスマン帝国への復帰?}の外交と内政は、ここに来て、急ブレーキがかかりそうだ。

 それは、アルメニアとの関係改善に加え、クルド問題の解決を急いだことから、トルコ国民のなかに反発が出始めたためだ。トルコ国民の多くが(4万人程度といわれている)クルドのゲリラ組織PKKによって、殺害されているからだ。

 エルドアン首相は民族間の和解を進め、クルド問題を解決したいと考え、その方向に国内政策のひとつである、クルド問題への対応を進めているが、野党のなかばかりではなく、与党AKP内部にも、不満を抱く人たちが、増えてきているようだ。

 ここで、エルドアン首相は強引に、彼の政策を推進するのか、あるいは、一旦立ち止まって深呼吸をして、また手がけるのか思案のしどころであろう。しかし、彼の性格から判断すると、どうも一旦停止をするとは思い難い。それのブレーキ役は、ギュル大統領であろうか。エルドアン政権は彼の政策を国民にもう一度、丁寧に説明する時が、来ているのかもしれない。