サイフ・ル・イスラーム国家元首就任ご祝儀恩赦か?

2009年10月16日

 リビアの南部都市セブハで開催された、全国人民大会を前に、カダフィ大佐が自分の子息であるサイフ・ル・イスラーム氏に、何らかの公式な役職を与えてほしいと提案した。

 結果的に、サイフ・ル・イスラーム氏は全国人民大会の場で、実質的に国家元首に近い、高位の権力の座を与えられることになった。

 サイフ・ル・イスラーム氏のこのポストへの就任は、実質的に彼がカダフィ大佐の後継の地位、つまり次のリビアの国家元首に就任することにつながるだけに、兄弟が反対の動きを起こすのではないか、と懸念されてもいる。

 もう一人の子息であるムウタシムは、以前自分の思いどおりにならなかった時、私兵を引き連れて力による交渉をしたことで、話題になったことがある。そのようなことが、今回のサイフ・ル・イスラーム氏の要職就任で起きなければいいのだが、懸念がないわけではない。

 カダフィ大佐にしてみれば、一番まともな子息が、全国人民大会の場で要職に推薦されたことで、相当ホッとしているのかもしれない。サイフ・ル・イスラーム氏以外の子息では・このような高位につけた場合、力でカダフィ大佐に辞任を求めることもあり得たろう。

 カダフィ大佐の喜びようは、このサイフ・ル・イスラーム氏の要職就任のすぐ後に表れている。名目上はサイフ・ル・イスラーム氏の発令ということになっているが、実際にはカダフィ大佐が、下した決定であろう。

リビアでこれまで、イスラム原理主義者の戦闘員として、逮捕投獄されていた88人が、釈放さたのだ。それは多分に、サイフ・ル・イスラーム氏の高位就任のお祝いの、恩赦的性格を帯びた決定と思われる。

インターネットの画面には、喜び合う夫婦(兄妹?)の姿であろうか、写真が貼り付けてあった。いずれにしろ、喜ばしいことであろう。恩赦で釈放された彼ら、イスラム原理ミリタントと呼ばれる人たちが、本物のイスラム原理主義者でないことを、いまは祈るのみだ。