最近、リビアのカダフィ大佐の次男坊が、本を出版したようだ。もっと正確に表現すれば、ロンドン大学の博士論文ということだが、やがて本として出版されよう。博士論文のテーマは「国際管理における民主主義」、ということのようだ。
カダフィ大佐は1969年9月1日に、リビアの革命に成功し、後に「第三理論」なる本を出版している。この本のタイトルは、次第に拡大され「世界第三理論」という名前も付いたが、中身は最初のものと同じだ。
リビアではここ数年、誰がカダフフィ大佐の後継者になるのか、ということが、注目を集めてきている。今年69歳になるカダフィ大佐も、だんだん「暴れん坊カダフィ」の年齢では、なくなってきたということであろうか。
そこで持ち上がってきているのは、彼の二男サイフ・ル・イスラーム氏の名前だ。彼はオーストリアに長期滞在していたことや、欧州で学んだことなどから、開明派と目されている。2メートルもあろうかと思われる、坊主頭の大男だが、物腰はいたって柔らかい。
サイフ・ル・イスラーム氏はリビアのイメージを、よくしようとこれまで、いろいろなイベントを、世界中で開催してきている。日本でも彼の絵画展が、開かれたことがある。
もう一人は、ハンサム・ボーイのムウタシム氏だ。しかし、彼については、特にほめた噂は聞かない。ところが、カダフィ大佐にムウタシム氏の方が、顔かたちが似ているということであろうか。最近、ムウタシム氏の方が本命だ、と主張するリビア通が、増えてきているようだ。
サイフ・ル・イスラーム氏はもともと、後継者になることを望んでいない、と言われてきていた。しかし、彼はリビアの国内社会・政治と、国際的イメージを改善すべく、これまで努力をしてきていた。
一度は、父親カダフィ大佐と意見が対立し、「それならすべての活動をやめる」と開き直り、カダフィ大佐がサイフ・ル・イスラーム氏の意見に、折れたという話もある。
サイフ・ル・イスラーム氏はいまも、後継者になるということを、否定しているが、彼が後継者になる可能性が、いまでもダントツなのではないか、と思われる。サイフ・ル・イスラーム氏は、以前にも本を書いているが、今回の「民主化に関する本は、彼が後継者になって行く、明確なステップなのではないか。つまり、サイフ・ル・イスラーム氏の統治の時代の、予告本ではないのかということだ。