BBCのネットに、面白いニュースが掲載されていたのでご紹介する。世界のイスラム教徒人口は、13億とも15億人とも言われている。このイスラム教徒たちは、一生に一度、メッカ巡礼をすることを、義務付けられている。ただし、それは巡礼が可能な者のみが行う、という緩い義務だ。
このハッジは、日本語では大巡礼と言われ、ハッジ月に所定のコースを回って、初めて正式なハッジとして、成立するというものだ。しかし、メッカ巡礼にはもう一つの巡礼があり、アラビア語ではオムラ、日本語では小巡礼と呼ばれている。
このオムラは、特別に巡礼月が定められておらず、いつでも気が向いた時に、行けばいいのだ。イスラム教徒で中東地域に住む人たちは、お金に余裕があると、気楽にこのオムラに向かう。
荘厳なメッカでのお祈りは、自身の汚れた心を、正常にしてくれるのであろうか。なかには、1年に2度3度と、オムラに向かう人たちもいるのだ。彼らはオムラで、メッカのカアバ神殿を囲んで礼拝する際に、できるだけいい場所で、礼拝したいと望むようだ。
たとえば、アブラハムが立った場所というのが、カアバ神殿のすぐそばにあるが、その近くで礼拝をすれば、ご利益が何倍にもなる、とでも考えているのであろうか。そうなると、カアバ神殿を囲むご利益ポイントは、陣取りをする者が出てくる。
礼拝時刻の前に、メッカのカアバ神殿に行き、そこでご利益ポイントに、自分の場所をとっておき、外部から来た巡礼者に、その場所を売りつけるのだ。驚くのは、その場所の値段が300ドルから400ドル、あるいはそれ以上するというのだ。
さすがに、この事態を知ったサウジアラビア政府は、陣取り商売を、禁止することにしたようだ。しかし、実際にはどうにでもなることで、当分の間は陣取り商売はなくなっても、その後にまた出てくることになろう。
この陣取り商売は、結構悪くない商売ではないか。メッカに少し早めに行って、そこに寝転がっているだけで、300ドルから400ドルの金が、稼げるのだから。どこにも金儲けに、目ざとい人間はいるものだ。