怒りか二匹目のドジョウかーイラク人の死

2009年9月17日

 ブッシュ大統領がイラクのバグダッドを訪問し、現地で記者会見をしていた折に、ブシュ大統領に向かって靴を投げた、イラク人ジャーナリストがいた。

 もちろん、彼はその場で逮捕され、裁判の結果投獄が決まった。その後、彼の刑務所内での態度がいいとして、つい最近早期の出獄が可能となった。

 彼が投獄されたことに、怒りを感じるイラク人が多かったことと、アラブ人全体が彼を称賛した結果であろう。

この靴投げ男こと、ムンタズル・アルザイデイ氏が、刑務所から出る日が近づくと、イラク国内外の彼を慕う人たちが、高価なプレゼントを申し出始めた。実際に、彼には多くの賞賛と好意が、寄せられたのであろう。

このことを見てか、あるいはあくまでも単純な怒りからか、イラクの首都バグダッドの一角にある、ファッルージャに住むアハマド・ラテイーフ氏(32歳)が、アメリカ軍のコンボイに向かって靴を投げた。

彼がムンタズル・アルザイデイ氏のように、何か気の利いたセリフを口にしてから、自分の靴を投げたのかどうかについては知らない。いずれにせよ、アメリカ兵が飛んでくる彼の靴を、手りゅう弾か小型の爆弾と勘違いし、彼は銃で撃たれ重傷を負って、病院に担ぎ込まれた。

もちろんといっては気の毒だが、このアハマド・ラテイーフ氏はその後、病院で死亡した。

アハマド・ラテイーフ氏が、アメリカ軍のコンボイに向かって、靴を投げた動機は、ムンタズル・アルザイデイ氏の釈放に、刺激を受けた単なる座興、のつもりだったのか、あるいは、心の底からアメリカ軍に、怒りを感じてのものだったのか。

もしかして、アメリカ軍に靴を投げ逮捕されて、投獄され、釈放されるときには、沢山のプレゼントをもらえる、と期待してのものであったとすれば、実に気の毒で、かつ愚かな出来事だというとになろう。他人のまねをするからすか、はたまた二匹目のドジョウか、案外よくある話なのかもしれないが。