アメリカが最新鋭のPAC-3地対空ミサイル72基を含む、280基のパトリオット・ミサイルを、トルコに輸出することを決めた。
このPAC-3型ミサイルは、2001年に姿を見せ、オランダ、ドイツ、日本などに輸出されている。
トルコへの今回の輸出額は78億ドルであり、アメリカがどれだけトルコに、期待をよせているかが伺える。つまり、トルコはいまやアメリカの中東における、イスラエルと並ぶ同盟国に、なったということであろう。
同時に、このアメリカとトルコとの間で交わされた兵器の取引に、イスラエルがクレームを付けていないということは、これまで言われてきた、トルコとイスラエル関係の悪化が、表面的なものでしかなかったことを、説明しているのではないか。
イスラエルは通常であれば、周辺諸国の兵器購入に、極めて敏感な国だ。したがって、トルコが兵器を輸入する場合でも、それが最新鋭の兵器となれば、しかるべき反応があるはずだ。
以前、エジプトのシナイ半島にある、シャルム・エルシェイクで開催されたダボス会議の席で、トルコのエルドアン首相が、イスラエルのペレス大統領に怒りをあらわにしたことが、両国の関係を著しく悪化させたといわれていたが、実際のところはそうではないようだ。
イランのバヒデイ国防大臣は、アメリカの最終ゴールは、イランとイラクとの間で、戦争を起こすことだ、と語っているが、それは必ずしも、正確ではないのではないか。
アメリカはイランを取り囲む、周辺諸国の軍事力を強化することによって、イランを追い詰めようとは考えていよう。そうは言っても、イランの軍事力に対抗できるだけの、軍事力を持てる国は、この地域にはそう多くはない。
トルコは軍隊の規模、国民の総人口などの面から、イランにとって最強の仮想敵国、ということではないのか。アメリカはその点からも、トルコに対する評価を高め、関係を強化していくものと思われる。
つまり、トルコはアメリカのイラク対応でも、イラン対応でも、アフガニスタン対応でも、重要なパートナーになっているということだ。しかし、日本のトルコに対する評価は、いまだに低すぎるのではないか。