2003年のイラン戦争で、サダム体制が打倒され、最初にイラクの首相に就任したのは、イヤード・アラーウイ氏だった。彼は強引なまでの統治手法は、一定の成果を収めたが、あまりにも強硬すぎるということで、アメリカ政府に嫌われ失脚している。
しかし、その後に首相に就任したジャアファリ氏にしろ、現在の首相マリキー氏にしろ、国内政治勢力に対する、過度な配慮と弱腰から、イラクの治安は改善されていない・
アメリカ軍のイラク撤退が、既に秒読み段階に入っているにも拘らず、イラク政府とマリキー首相は、明確な治安対策を打ち出していない。このままの状態で、本当にアメリカ軍がイラクから撤退すれば、イラクは内乱状態に陥ることが、確実であろう。
イヤード・アラーウイ氏は、いまこそ権力の座へのカムバックのチャンスと、考え始めているのかもしれない。今年の8月の段階から、彼がマスコミに登場する機会が、増えて来ている様な気がする。シャルクルアウサト紙や、アルハヤート紙が、イヤード・アラーウイ氏とのインタヴューや、活動に関する記事を、掲載し始めているのだ。
そのなかで目立つのは、イヤード・アラーウイ氏が、アメリカ軍撤退後のイラクが、混乱に陥ることを、指摘しているということであり、イラク政府は明確な準備計画を、立てなければならない、と考えているということだ。
イヤード・アラーウイ氏は、アメリカ軍撤退後のイラク国内の治安維持に対し、イラク政府の準備が不十分だと語っている。同氏は、イラク政府が明確で、正直で、現実に即した計画を、立てるべきだと語っている。
そのためには、イラク政府は周辺諸国に対して、敵対的な立場をとるべきではなく、特にアラブ諸国とは、良好な関係を構築すべきだとしている。マリキー首相の国内的問題に対する、国民の追求を逃れるための、イランやシリアに対する批判は、現状の不安定を解決することには、なら無いということであろう。それは確かにその通りであろう。
ここで気になるのは、イヤード・アラーウイ氏が何者かということだ。彼は以前から、CIAのエージェントだと言われてきていた。彼の手法は強引だが、しかるべき成果を上げていた。しかし、それがあまりにも強引なために、アメリカはイラク国民の反発を恐れて、彼を首相の座から外したといわれていた。
今回、イヤード・アラーウイ氏の政治活動を、特に紹介しているのは、いずれもサウジアラビア系の新聞だ。そのことは、サウジアラビ
そう考えると、イヤード・アラーウイ氏が首相に返り咲く可能性は、低くないのではないか。
ア政府の意向、そしてアメリカの意向が、働いているからではないのか。