長い間、日本の政権を担当してきた、自民党が野党に下野し、民主党が国民の期待を集めて、政権の座に就いた。さてそこで疑問が沸いてくる。日本国民と民主党のハネムーンは、何時まで続くのだろうか。
国内政治についてはほとんど疎いので、私見を述べるつもりは無いが、中東や西アジアについては、気になることがあるので、書いてみることにした。
民主党はインド洋での合同軍に対する給油活動を、来年1月で中止する方針を固めたようだ。そのこと自体には反対しない。この日本が提供する油の相当部分が、パキスタン軍幹部の懐に、入っているという話もあるだけに、どの程度透明なのか分からないからだ。
しかし、国際貢献という美名の下に(?)、金を出差無ければならないなかでは、人的貢献と資金の拠出が伴う、インド洋での給油は危険度からすれば、いたって不安の少ないものではないのか。したがって、日本はインド洋で給油活動をすることは、油代金と人的貢献の負担はあるものの、決定的な犠牲は払わなくて済んでいる。
しかし、民主党が進めようとしている、アフガニスタンへの貢献は、日本人をアフガニスタンに送り込むものであり、極めて危険度は高いのではないか。アメリカが敵視している、アフガニスタンの抵抗勢力であるタリバンは、このところ勢力を拡大してきているし、欧米軍の犠牲も増加している。
そこに、日本が人を敢て送るということは、どのような判断からなのであろうか。ISAFなる横文字を使い、国連主導ということで、安全のお札を入手したとでも思っているのだろうか。
問題は派遣される人たちだ。彼らはアフガニスタン行きの命令に対して、ほとんど拒否できる立場には無い。彼らは国家の判断に、黙って従うしかないのだ。その結果、死傷者が出た場合、国家はそれなりの補償を、すればいいということであろうか。
アフガニスタンに軍隊を派遣している諸国は、今後どうしたいと考えているのか、調べたことがあるのだろうか。また、これらの派遣諸国が今後、どうするつもりでいるのかを、調べたことがあるのだろうか。そして、日本には独自にアフガニスタンの国内状況を、調べる情報収集力があるのだろうか。加えて、収集した情報を分析し、近い将来を予測する、能力があるのだろうか。
人命のかかわるアフガニスタンへの派遣は、他者の判断や都合に合わせて、行うべきものではないと思うのだが。自衛隊員、外務省職員、民間のNGOといった人たちが、これからアフガニスタン行きを命じられるのであるとすれば、極めて気の毒な話、ということになりそうだ。
犠牲者に補償すればいい、という性質のことではあるまい。先ず、政府が外国の情報を収集する能力を高め、分析する能力を高めることを、優先すべきであろう。その上で、独自の判断に立って、アフガニスタンに派遣するか否かを、決めるべきではないのか。