イランのアハマド・ネジャド大統領が、また激しいイスラエル非難をした。イランのプレス・テレビの報道では、世界が反イスラエルで立ち上がるべきだ、という相当過激なものになっている。
今回のアハマド・ネジャド大統領の非難は、イスラエルが中東地域全体を危険にさらしており、イスラエルは永遠に、中東地域の安全を脅かす存在だ、と語っている。中東地域のいずれの国も、イスラエルを承認することは無い、とも語っている。
そして、イスラエルは嘘と詐欺の国家であり、植民地主義の目的に沿って、建設されたものだ、と語っている。加えて、シオニストは地球規模の帝国を、建設するつもりだとも語った。
今回の発言の極めつけは、ホロコーストが真実ならば、何故その真実を突き止めることを、イスラエルは許さないのかと語ったことだ。
このアハマド・ネジャド大統領の、イスラエル非難は尋常ではない、というのが世界的な評価だが、何故、彼はここまでもイスラエルを非難するのであろうか。しかるべき理由が無い限り、常識的には、ここまでは非難しないはずなのだが。
このイスラエルに対する、激しい非難のスピーチは、エルサレム・デー(コドス・デー)でのものだが、このエルサレム・デーは、国際社会とイラン国民、そして世界のイスラム教徒が、パレスチナを支援する目的で、行われているものだ。
このエルサレム・デーは、そもそも、イラン革命の父とでも言うべき、ホメイニ師によって提唱されたものだ。ホメイニ師の熱烈な信奉者であるアハマド・ネジャド大統領は、イスラエルの存在がパレスチナを、追い詰めているという認識であり、イスラエルの存在そのものを否定しないことには、パレスチナ問題は永遠に解決されない、ということであろう。
他方で、アハマド・ネジャド大統領はアメリカの、イランへの介入を激しく非難してもいる。1953年に起こったイランのモサデク政権潰しは、アメリカによるものだった、という認識に立っている。
そのアメリカがイスラエルを支援しているということは、イスラエルはアメリカの植民地政策の、道具だという認識であろう。そして、アハマド・ネジャド大統領の論理では、イスラエル建国は植民地主義者の陰謀であり、イスラエルは植民地主義の目的に沿ったものだし、イスラエルが建国に到る正当化のひとつであるホロコーストは、嘘だということであろう。
しかし、このことを声高に叫べば叫ぶほど、彼に対する支持はもとより、イランに対する世界の支持は、得難くなるのではないか。核開発問題で、イランの味方についているロシアも、今回のアハマド・ネジャド大統領の発言は、受け入難く反対している。