これまでも何度となく過激な発言で、世界のマスコミをにぎわせてきた、イスラエルのアヴィグドール・リーバーマン外相が、また問題発言をした。この問題発言とは、今後のイスラエルのイメージを予測する上で、大きな意味を持っているかもしれない。
アヴィグド-ル・リーバーマン外相は、兵役義務あるいは社会サービスを行っていない者には、キャリア外交官としての教育を、受けさせるべきではないと言いだしたのだ。このニュースはヨルダンの新聞や、BBCで報じられてた。
アヴィグド-ル・リーバーマン外相は必要であればクネセト(イスラエル国会)にかけて法制化売るつもりのようだ。これまでイスラエル国籍を有するアラブパレスチナ人は一部の例外を除いて、兵役義務がなかった。
イスラエルの法律ではイスラエル国民に、平等の権利を与えることになっており、もしクネセトに持ち込まれた場合、相当激論が戦わされるのではないか。
この兵役義務免除(アラブ系イスラエル人に軍事訓練経験を持たせないという目的)は、イスラム教徒ばかりではなく、キリスト教徒にも当てはめられている。同様に、イスラエルユダヤ人ではあるが、ユダヤ教原理主義者たちも、兵役義務が免除されている。
現在イスラエリ・アラブ人と呼ばれている、イスラエル国籍を有すアラブ系イスラエル人の人口は、イスラエル国民の5分の1(145万人)を占めるに至っている。彼らは、常にイスラエリ・ユダヤ人とは、差別されていると感じている。
気になるのは、ネタニヤフ首相の主張した「イスラエルはユダヤ人の国家」という意見を思い起こすと、今回のアヴィグドール・リーバーマン外相の発言は、将来的に、アラブ系イスラエル人を、公職から追放することを考えての、発言ではないかということだ。
これまでも、イスラエルの強硬派の人たちの間から、1948年組と呼ばれる、イスラエル国籍を取得しているパレスチナ人を、ガザ地区や西岸地区などに追放しろ、という意見が何度となく出ている。
イスラエル国籍を有するパレスチナ人の、クネセト・メンバーがこれまで、反イスラエルの立場の意見を、述べてきていることから考え、イスラエル人にしてみれば、やむを得ない意見なのかもしれない。それが公然と語られなかったのは、イスラエルが中東唯一の民主国家という看板を、掲げていたためであろう。
イスラエルはいま、建前が優先されるのか、あるいは現実が優先されるのかという、難しい選択を迫られているということであろう。